<楽天8-5西武>◇4日◇楽天生命パーク

西武一筋20年、栗山巧外野手(38)が通算2000安打を達成した。球団生え抜きでは初の快挙。埼玉・所沢で牙を研ぎ続けた「ミスター・ライオンズ」が、その名前を球史に刻んだ。

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栗山の握力の強さは球界でズバ抜けている。小さい頃から、父忠人さん(63)の教えだったという。「バット振れなんて言われたことがない。でも『握力やったんか』だけはずっと言われましたね」と栗山。勉強やれ、練習やれ、はまったく言われない。でもハンドグリップだけは家でやり続けた。忠人さんは「体が出来上がっていないのに、変な筋肉をつけたらアカンって聞いたんで。それやったら握力やろ、と」。徹底させた。

最高で85キロ、調子が悪くても常時80キロは超える。数年前、テレビ番組の企画でも取り上げられた。ただ、野球に握力は特別必要ではない、というのが通説。それは野手にも投手にもいえることだというのは、プロに入ってから聞いた。でも栗山は、1つだけ打撃に生きていることがあるという。

「ハーフスイングをガッと止めるとき。バットが回り切らないで、球審にスイングをとられないことがある。バットを止める力が、これだけは握力が生きてると思うんですよね」。ハーフスイングを取られてカウントを悪くしたり、三振になっていれば2000安打到達はもう少し先だったかもしれない。ちなみに、リンゴをつぶそうと試みたことはあったが、つぶせなかったという。【西武担当=栗田成芳】