“お祭り男”の血が騒いだ。楽天島内宏明外野手(31)が19日、ソフトバンク18回戦で7回に決勝の勝ち越し2ランを放った。

18号は18年田中和に並び球団生え抜き最多。85打点、得点圏打点70、勝利打点12、殊勲安打26はいずれもリーグトップを誇り、独自の切り替え術で勝負強さを維持する。楽天生命パーク周辺では20日まで「東北ろっけんまつり」と題したイベントを開催中。逆転優勝へのみこしを上げた。

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温かなだいだい色のちょうちんが、スタンドになびく。島内が雲1つない晩夏の青空に快音を残し、歓喜の音頭をとった。同点の7回2死三塁。「風がいい感じで吹いていたので『風、ありがとうございます』という感じです」と岩崎の内角高め154キロを捉え、決勝の18号勝ち越し2ラン。お祭り気分に花を添えた。

勝負強さはだてじゃない。85打点はロッテ・レアードに8差をつけリーグトップを独走。「得点圏打点70」「勝利打点12」「殊勲安打26」とチームの勝利に直結する数字は、いずれもリーグトップを誇る。

塁がにぎわうと、自然と奮い立つのか。「自分ではチャンスで弱いと思っています。すごいチャンスで回ってくるなと、緊張していました」。

弱気を自称するも、独特の思考術で前を向く。

「切り替えることがプロ野球では非常に大事。凡退したらシュンとなりがちですけど、凡退した時こそ堂々とベンチに帰る。凡退したら楽しく、明るくというのは僕の考え。チームには申し訳ないですけど、自分のことだけを考えてやりたいなと思います」。

3回1死一、二塁で捕邪飛に倒れても「あまり熱くなりすぎてもダメ。打席では冷静にいないといけない。打てないのは当たり前」と意に介さない。究極のポジティブ思考で、圧をはねのけ、打線のど真ん中を張り続ける。

本拠地楽天生命パーク周辺では20日まで「東北ろっけんまつり」を開催中。青森・ねぶた祭、秋田・竿灯(かんとう)まつりなど東北各地の祭りを集結させ、金魚すくいや射的など伝統的な夏祭りを体感できる。島内は「野球しかやってこなかったので、あまり祭りは行ったことがないですね…」と場外をうらやましがり「試合を休ませてくれるなら普通に明日回りますよ(笑い)」と出没? をにおわせた。

残り28試合で首位ロッテに5ゲーム差と、1つも落とせない試合が続く。「周りから打点王いけるな、と言われますけど、正直本当に興味なくて、どちらかというと20本を打ちたい」。逆転優勝への明かりを、消させない。【桑原幹久】