阪神ドラフト6位の中野拓夢内野手(25)がマルチ安打と2盗塁で、2番打者として強力な「つなぎ力」を発揮した。

1回無死一塁でフルカウントから一塁走者の近本がスタート。遊撃手が二塁ベースカバーに入って広く空いた三遊間を見逃さなかった。中日ロドリゲスの低めスライダーを左前にはじき返す鮮やかなランエンドヒットで一、三塁と好機を演出。「クリーンアップにいい形でつなぐためにも、食らいついて打つことができて良かった」。次打者マルテの初球に盗塁に成功。無死二、三塁と相手にプレッシャーを与えて、決勝3ランを導いた。8回も先頭で右前打で出て二盗を決めて、リーグトップの盗塁数を26に伸ばした。「塁に出て、相手を揺さぶるというのも自分の持ち味」と相手の嫌がる点を突いている。

第1打席が今季443打席目で、シーズン規定打席に到達した。「1年目で規定打席に到達できたのは自信になりますし、これからの野球人生につなげていけたらいいかなと思います」。開幕から木浪と山本による遊撃争いが続く中、中野は代打で結果を残して4月後半から定位置を勝ち取った。今や1番近本、2番中野とリーグ指折りの上位打線を形成。「上のチームが気になったりとかあると思うんですけど、自分たちのやるべき野球をやれば、いい試合で勝つことができると思う。まずは1戦1戦、自分のやるべき役割というのをしっかりできるようにやっていきたい」。ルーキーは地に足つけてシーズン終盤を迎えている。【前山慎治】

 

▼中野が打席数を446とし、今季のセ・リーグ規定打席(443)を満たした。2リーグ制後の阪神新人では、19年近本以来12人目。阪神では佐藤輝も規定打席にあと24としており、新人2人の到達も可能。同一球団の新人2人が規定打席を満たせば、62年東映の青野修三と岩下光一以来、プロ野球59年ぶり。阪神では1リーグ時代も含め、初となる。