今季限りの引退を表明している巨人大竹寛投手が、全球シュート勝負で最後のマウンドを飾った。

2点を追う8回、打者はヤクルトのサンタナ。サインに首を振り、伝家の宝刀を投げ込んだ。最後はカウント2-2から139キロでバットを粉砕。遊ゴロに仕留めると、笑顔でグラブをぽんとたたいた。「マウンドに上がったらスイッチ入って、シュートシュートになっちゃって。投げると決めていたんですけど、まさか自分でも、あれだけ首振って…。でも投げ切れたと思います」とすがすがしい表情で笑った。

マウンドに歩み寄った原監督からは「お疲れさん」と肩を抱かれた。「ありがたいです。こんな僕に」。試合後は左翼付近で仲間から5度、胴上げされた。「一生の思い出ですね。あんなに気持ちいいものだとは思わなくて」と、また笑った。今季は負傷も重なり、1軍登板はわずか4試合で208日ぶりの1軍マウンド。プロ20年間を生き抜いてきた武器で、涙なく笑顔で投手人生に幕を引いた。