広島中崎翔太投手(29)が10日、秋季練習初の紅白戦に登板し、2回無安打無失点の完全投球を披露した。

時折小雨が降る寒空の中、最速150キロを計測。1軍選手が並ぶ打線を相手に1人の走者も出さなかった。来春キャンプの切符をかけた争いと位置づけた実戦で、3年連続胴上げ投手の元守護神が熱いアピール投球を見せた。

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気温13度と冷え込んだマツダスタジアムのマウンドに、半袖姿の中崎が上がった。11月のマツダスタジアムでの紅白戦。5回に登板し、先頭の林を三邪飛、石原を右飛に打ち取った。今季1軍で飛躍した若手をそれぞれ2球で仕留めると、続く大盛の初球はこの日最速の150キロを計測した。この回、6球はすべて直球。力があった。

「今更ここで腕が振れてもっていうところもあるんですけど。シーズン中にそれができなかった悔しさと、自分に対しての怒りもあります。そういうことを思って取り組んでいければ」

イニングをまたいだ6回は変化球も交えた。3者凡退に抑え、2回無安打無失点の完全投球。アウト6個のうち5つがフライアウトだった。「我慢強く、悪い時でも、継続してやってこられたっていうところがつながっている」。3年連続胴上げ投手から、昨年に続き今年も1桁登板に終わった。トレーニングから体の使い方、姿勢を見直すなど、投球以前の意識改革を行い、シーズン終了後には若手主体のフェニックスリーグにも同行。復調の道を探り、6月4日以来の本拠地マウンドで成果を示した。

佐々岡監督は秋季練習初実戦で、目に留まった選手として中崎の名を挙げた。「しっかり腕を振って、球の強さもあった。今日はすごくいい時のザキ(中崎)のように見えました」。冷気を吹き飛ばす熱投は、首脳陣の中に深く刻み込まれたに違いない。【前原淳】