先発争いに殴り込み。広島小林樹斗投手(19)が2日、フリー打撃に打撃投手として登板し、堂林と韮沢の2選手を安打性4本に抑えた。全38球を投げ、13本のファウルを打たせるなど、球威のある投球を披露した。この日登板した5投手の中で最速となる145キロを計測。昨季最終戦に球団の高卒1年目として9年ぶりに先発した1軍最年少右腕が、開幕ローテーション争いに挑んでいく。

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打撃ケージ内に転がる白球が、球威の証明だ。今年初めて打者に向き合った小林は、真っすぐのみの投球でバットを押し込んだ。初球は先輩堂林の左肩を直撃したが、動じなかった。2球目に空振りを奪うと、その後は堂林には全18球中、初球の“死球”を除けばボール球は2球と立て直した。続く韮沢には6球とボール球が増えたが、6球ファウルで安打性1本。詰まらせた打球が目立った。この日登板した5人の若手注目株の中で、最速となる145キロを計測。持ち前の球速と球威をみせつけた。

小林 ある程度ゾーンに投げられているかなという印象はあったんですけど、まだまだ制球できていない。もっとレベルアップしなくてはいけないなと感じました。

キャンプ初日の初ブルペンでは、ボールの回転数などを計測するラプソードで149キロをたたき出した。ただ、低めへの強い意識が空回り。リリースポイントが安定せず、佐々岡監督から指摘された。1日で改善された内容に、指揮官も「昨日よりも修正できていた。球自体の強さはあるので、楽しみ」と評価した。

小林には追いかける背中がある。昨年、高卒2年目で9勝を挙げたヤクルト奥川だ。智弁和歌山の2年夏に甲子園で対戦。国体などで投球論を交わし、奥川の投球フォームを手本に現在の投球フォームの原型をつくった。「フォームがコンパクトになったというか、スムーズに体を運べるイメージになった」。同じ2年目での飛躍で、プロでの再戦を思い描く。

先発は3本柱が確定し、床田も濃厚。残る2枠を玉村や高橋昂、新人の森らと争う。「もちろん負けたくない気持ちは常に持っていますし、この1カ月でもっともっとレベルアップしたい思いで練習しているので、1日1日大切にしていければと思います」。負けん気の強い1軍キャンプ投手陣最年少は、1歩も引くつもりはない。【前原淳】

○…キャンプ2日目で、早くも投手陣が打者を相手にした投球を行った。小林のほか、高橋昂、森浦、大道、玉村が登板。4投手は昨季、計110試合に投げ、計16勝と結果を残した注目株だ。5投手はそれぞれ右打者、左打者の計2選手を相手に、真っすぐのみの内容ある投球を見せた。佐々岡監督は「ばらつきがある投手もいるけど、全体的に出来としては良かった」と及第点を与えた。その中でも高橋昂を挙げ「(腕を)上から角度のある球を(投げようとする狙い)というのが見えた。かつ、しっかりある程度の球を投げられていた」と評価した。

キャンプ3日目は、床田や中崎らがフリー打撃登板を予定。キャンプ序盤に打者を相手に登板する投手の顔ぶれは、例年以上にレベルが高い。佐々岡監督は「若い投手が多い中での競争はまだまだですけど、投手陣の質、底上げはできていると思います」とさらなる底上げに向け、ハイレベルなチーム内競争を期待する。

◆小林樹斗(こばやし・たつと)2003年(平15)1月16日生まれ、和歌山県出身。智弁和歌山では1年春からベンチ入りし、2年春、夏と甲子園出場。夏の3回戦で星稜奥川と投げ合った。20年ドラフト4位で広島入団。昨季最終戦でプロ初登板初先発を果たした。182センチ、84キロ。右投げ右打ち

◆広島先発争い

大瀬良 当確

森下 当確

九里 当確

床田 濃厚

玉村 対抗

高橋昂 対抗

小林 対抗

※森 対抗

※は新加入