ソフトバンクの今季スローガン「もっと!もっと!もっと!」にちなんだ日刊スポーツの企画「もっと!もっと!もっと!しゃべりタカ」に中村晃外野手(32)が登場。ここ3年の不振から巻き返しへの思いや、取り組んでいる打撃フォームへの手応え、長谷川コーチとの関係性などについて、電話インタビューで語った。【取材・構成=山本大地】

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-ここ3年は悔しい結果。思い当たる原因は

中村晃 打つ方の面で、思うように自分の考えと体が一致して動いていないのかなと思います。こう動いて欲しいというのがあるんですけど、そういう風に動かない。練習で補えるものなのか。練習はやってますけど、他に原因があるのか、あんまりよく分からないんですね。

-若い頃は感じなかった

中村晃 これで打てるなというのがあれば、ある程度はいけたかなと思いますけどね。いい感覚が長く続かないパターンもありますし、一致しないことが多いですけどね、ここ数年は。

-今年のキャンプも悩みながら

中村晃 去年全然ダメだったので、またしっかり変えてシーズンにはいかないといけないと思ってますし、本当に新しいものを探している最中というか、そういう感じですね。

-練習でも毎日打撃フォームが違う

中村晃 変えないのが一番いいんでしょうけど、打っている感覚がまだまだ納得いくものではないので、やっぱり少しでもいいようにしたいので、変えてやっていますね。

-例年、2月の状態は

中村晃 2月は今年調子がいいな、と感じたことは本当に15年やっていて1、2回とかしかない。後はああでもない、こうでもない、明日はこうやってみようというのを常にやっているような。あんまり気持ちよく過ごす2月ではないという感じですね。

-14年は安打数と打率、16年は四球と出塁率、18年は本塁打、長打率が高かった。理想型は

中村晃 全部、三者三様でいいんですけどね。理想はその3つが合わさるのが一番です。

-両立は簡単ではない

中村晃 そうですね。でも18年は2割9分くらい打っている。しっかり強い打球が打てるスイングをしていても、そんなに率が下がらないのかなというのはその時に思った。ちょこちょこしたバッティングは今はしたくない。しっかり振りたい。あのバッティングができるんであれば、それくらい振ってても2割9分くらい残ったというのが新しい発見でした。その時は。

-18年から続けている点は

中村晃 しっかり振ること。今の時代は左打者は引っ張れないといけないので、引っ張って強い打球という意識は今もありますね。引っ張れるタイミングでしっかり待つ。ここ5年くらいで投手の球速もすごく上がっている。逆方向を意識しすぎると、どうしても詰まってしまったりする。早い真っすぐ、インコースの真っすぐというのを頭から外すことはなかなか今はないと思います。

-長年、自主トレをともにした長谷川コーチの存在は

中村晃 若いときからずっと一緒にやってきましたし、ぼくのバッティングもいいときも悪いときも見ているので、そういう話はたくさんできるのかなと思います。

-実際に話す内容は

中村晃 フォームの話がほとんどです。一番打っていた時期に戻すわけではないんですけど、このときはこういう風にタイミングが取れていて、こういう風に体が動いていた。でも、今はこうだよねという話をしています。

-現役時代より踏み込んだ話ができる

中村晃 選手同士、チームメートではありますけど同じポジションでしたし、なかなか100パーセントではいけないですよね。長谷川さんも選手で、自分の技術を上げないといけないですし、コーチになってからの方がたくさん聞けるようになりました。

-現時点でいい部分は

中村晃 10回打って1、2回はいいスイングができるときがあるので、それをいかに確率よくするか。いいスイングがたまにあるので。去年はそんなになかったなと思う。それが10回のうち8回、9回できるようになれば。打球の飛ぶ感じとかも去年よりはいいと思います。今のところは。

-あらためて今季への意気込みを

中村晃 藤本監督は今まですごくお世話になった方。優勝して胴上げしたいなという気持ちが強いですし、まずぼくが試合に出て、いい成績を残して優勝したい。

◇取材後記◇

キャンプでの打撃練習というものは、ぼんやり見ていると楽しくない。柵越え何本とか、数字を数えるのも苦手だ。それでも中村晃の打撃練習には不思議と、見ていて引きつけられるものがある。

ある日はバットを構えた手を胸より下に下げ、力を抜いているように見えれば、次の日は顔近くまで上げて力強く構えている。バットを高く突き上げる動作が入る日もあれば、バットを担いでのけ反る日もある。構えた足の幅や重心の低さも変わる。今日は何を考えているのだろうかと目で追ってしまう。「求道者」と呼ばれた長谷川打撃コーチが現役だった頃の練習姿となんとなく重なり、ワクワクさせられるものがある。

中村晃は今キャンプ中でも、若手時代から長年、自主トレで師事してきた長谷川コーチと話し込む場面が多い。高度な打撃論をぶつけ合いながら、22年型を模索しているのだろう。2人の「打撃職人」が描く、珠玉の作品はどんな形で完成するのだろうか。【ソフトバンク担当=山本大地】