広島ドラフト1位の黒原拓未投手(22=関学大)がプロ初被弾を食らった。オープン戦の日本ハム戦(タピックスタジアム名護)で0-1の4回から登板。2死三塁から今川に甘く入った直球を左越えに運ばれた。初対外試合だった19日巨人戦では3者連続三振で1回無失点と好投したが、一転して1回2安打2失点とプロの厳しさを味わった。

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黒原はマウンドに立ち尽くし、白球の行方をぼうぜんと見届けた。高く、大きく、速い打球が左越えに消えていった。1点ビハインドの4回に登板。1死から三塁打を浴び、2年目の今川と向き合った。カウント2-1からの4球目。145キロの直球は真ん中に「抜けた」。快音とともにあっという間にアーチを運ばれた。「バッティングカウントで真ん中に甘い球がいってしまった。シュートして真ん中に入った」。力の伝わらなかった1球を反省した。

ボールが指に掛かりきらず、自慢の重い直球とはほど遠かった。「(体の)開きが早くリリースが遠かった」。キャンプではキャッチボールから体の開きを抑える意識で取り組んできた。30~40メートルの距離でシュート回転していないか球筋をチェック。右肩の開きに細心の注意を払っていたが、調子が優れず、失投につながった。左腕は「前の試合ほど(球の)強さがなかったので、より丁寧に投げないといけなかった」と唇をかんだ。

登板数が多い中継ぎだからこそ、不調でも不調なりの投球を求められる。目指す背中は日本最多373ホールドを誇る日本ハム宮西だ。関学大の14学年先輩にあたるベテランリリーバーからは試合前に「頑張れよ」と声を掛けられた。「技術的なことも学べることがたくさんある。いろいろ見て吸収したい」。リーグは異なるが、中継ぎだけで784試合登板の大先輩の姿はこの先もチェックしていくつもりだ。

佐々岡真司監督は「打たれて勉強。明日以降にどう生かすか」とドラ1の奮起を促した。最速152キロ左腕が、失投を糧に向上を期す。【前山慎治】