中日からFA加入したソフトバンク又吉克樹投手(31)が、ペイペイドームで今季初実戦に臨み、1回無失点2奪三振、打者3人を完璧に抑えた。

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ロッテ戦の9回に登板。4番山口を外角スライダーで遊飛に仕留め、5番岡は外角スライダーで、6番菅野には外角低めチェンジアップでともに空振り三振。「緊張はしました。久々の実戦ですし、違うユニホームで違う場所。甲斐に引っ張ってもらいながらいいピッチングができた」。鷹デビュー戦を鮮やかに飾り、白い歯を見せた。

志願のマウンドだった。当初は9日巨人戦で登板予定。「マウンドが変わったと聞いたのでそれを確認したかった。あとロッテはガンガン振ってくる。どれくらい自分の球が投げ切れるのだろうという話から、お願いしますと言いました」。2日の中日戦から毎試合ブルペンに向かい、準備も万全だった。「1週間に6試合あれば6試合ブルペンには行く」という中日時代からのルーティン。変則日程に対応できる本番モードで調整を重ねている。

藤本監督は又吉-モイネロ-森による勝ちパターンの継投を理想に描く。名刺代わりの完全投球に「右(打者)のインコースもしっかり投げているし、バッターはなかなか打ちづらい」と絶賛した。さらには「今日もえらい早く(肩)作っとったよ。そういう気持ちはいいよね。兄貴分的なところもある」とブルペンの活性化も期待した。

「7回の男」を本命視される右腕は「争いの中で自分の特徴を出し、中継ぎの1枠を奪う。大切にやっていきたい」と謙虚に次を見据えた。1月の新型コロナウイルス感染で出遅れたが、ようやく「ソフトバンク又吉克樹」が、産声を上げた。【只松憲】