楽天田中将大投手(33)が、日本球界復帰後初の完封勝利でリーグトップの4勝目を挙げた。

9回を107球で、わずか4安打に抑えて7奪三振。楽天のユニホームでは日本一に輝いた13年7月9日の日本ハム戦(東京ドーム)以来、3227日ぶりのシャットアウト劇を決めた。自身の連続無失点イニングを「20」に伸ばし、球団の連勝記録も「11」に伸ばした。

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9回にファンキーモンキーベイビーズの「あとひとつ」が球場に流れた。日本一を決めた13年日本シリーズ第7戦以来となる、歓喜へと向かう。田中将とファンの気持ちはひとつになった。当時と違うのは大合唱ではなく、手拍子での後押し。それでも、みなぎるパワーは変わらない。「最後も“ひと押し”。みなさんが背中を押してくださった」。あの時と同様、力強く試合を締めた。

勝負どころを完璧な投球で制した。5回無死一、二塁のピンチで、山口が犠打を試みた場面。「簡単に(犠打を)させたくない。第一優先は、前に転がさせない。バントをさせない」と、配球を組み立てた。

二塁走者を三塁へ進めるための犠打は三塁側を狙うのがセオリー。初球は右打者が三塁側へ角度を付けづらい、外角低めへのスライダーでファウルを誘った。2球目は外角高めの直球で外してボール。3球目は初球と似た軌道、同じコースへのカットボールで再びファウルにさせた。

どのボールも打者に高度な技術がなければ犠打を決めるのは難しい。ピンポイントを攻めて追い込み、最後はバスターに切り替えてくるのも想定済みで、ボールゾーンへ逃げるスライダーで空振り三振。「1人1人、1球1球しっかり投げること。それだけです」と振り返った、この日のハイライトが詰まった最高級の投球だった。

今季のチーム初完封勝利で球団の連勝記録も11に伸ばした。「10連勝中でマウンドに上がる機会は、なかなかない。いい緊張感の中で投げることができたと思います」。大型連勝の起点は2週間前の田中将の先発試合。ZOZOマリンで最大風速19メートルの中でも7回1失点に抑えた。やるべきことを尽くした背番号18の姿が、チームをビッグウエーブに乗せた。石井GM兼監督も「安定感抜群。安定した週の始めを過ごせている」と感謝した、9年ぶりの楽天マー君のシャットアウト劇だった。【木下大輔】

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