仙台育英(宮城)が優勝し、深紅の大優勝旗が史上初めて東北にもたらされた。ロッテ佐藤都志也捕手(24)も「白河の関」に思いをはせた1人だ。

福島の浜通り、いわき市出身。ソフトボールが盛んな土地でじっくり強い肩を作り、今がある。「小さい時から県内で強いといったら聖光学院というところはあって。いつか入りたいなと」。中学時代は目立つわけでもなく、スカウティングされたわけでもなく「とりあえず聖光学院の空気を味わいたいなと思って、オープンスクールに中学校の同級生たちと一緒に行って」。そこで声を掛けられた。

見事“売り込み”に成功した同校では福島県大会夏9連覇にも貢献するなど、大きく成長した。この夏も時間さえあればテレビ観戦していた。話を聞いたのは3回戦翌日の17日。「すごいなと思ってます。優勝を経験してる3校を破るのはすごいなと思いながら見てますし。守備がすごい堅くていいなと思います」。決勝進出や東北勢初優勝は同じ東北の仙台育英に譲ったが、4強の後輩たちを誇りに感じている。

母校のグラウンドは東北新幹線のそばにある。高架下の道路は、とことん走り込みさせられたという苦い場所。仙台遠征の行き帰りには「見ますね。今日は練習してるのかな~とか見たりはしてます」と、いつも視線を送っている。

新幹線の向こう側からこっち側に来て、7年。「監督やコーチのミーティングの内容は今でもずっと覚えています。試合に入っていく中での気持ちの持ち方とか、劣勢の状態でも相手に向かっていく気持ちの部分とか」。上位から離されつつある今も目の闘志は18歳の、あの夏のままだ。【金子真仁】