8回の男が帰ってきた! 広島矢崎拓也投手(27)が、巨人24回戦(マツダスタジアム)の8回に登板した。

無死満塁の大ピンチを招くも、2点リードを守る無失点投球。16日に無症状ながら新型コロナウイルス感染が発覚し、前日27日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で実戦復帰した。翌日即1軍に昇格し、定位置へ。離脱前と変わらぬ快投で、2週間ぶりに11ホールド目を挙げた。

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今季、矢崎が勝ち得た全幅の信頼。その大きさが表れた起用だった。新型コロナウイルス感染から復帰し、この日1軍昇格。前日27日にはウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で1イニングを投げていたとはいえ、昇格したその日に「勝利の方程式」の一角としてマウンドに送り出された。

2点リードの8回。「8回の男」が離脱前と同じ“定位置”に立った。先頭からいきなり2安打と四球で無死満塁。長打で同点、1発が出れば逆転もある展開だった。それでも右腕は淡々と腕を振った。「腹をくくってやるしかない。(満塁という)シチュエーションから力をもらった」。巨人大城を低めフォークで空振り三振。続く代打中島も変化球で泳がせて二飛に打ち取り、吉川にはフォークで空振り三振を奪った。「基本、真っすぐとフォークがメーンの投手。四球を気にして置きにいくことはやめて、腕だけ振って投げようと勝負した」。グラブをパンとたたき、仕事を終えた。

無死満塁を招いても、大ピンチを切り抜けても、矢崎の表情は大きく変わらない。「あまり意識はしていない」と語るが「アウト1個とっても終わりではない。登板が終わるまでは常に同じように」と、セットアッパーとして隙を与えないように振る舞う。

矢崎の好リリーフもあり、チームは3カードぶりの勝ち越しを決めた。6日ぶりに4位に浮上。30日から敵地で戦う3位阪神に1・5差に迫った。上位の背中が見えてきた8月末。コロナ感染から復帰してきた選手たちが、チームに力を与えている。【前山慎治】

○…坂倉が自己最多に並ぶシーズン12号2ランを放った。同点の3回1死一塁で巨人赤星の初球真っすぐを右翼席に運んだ。一時勝ち越しとなる1発で連続安打を3試合に伸ばした。一時期調子を落としていたが、本拠地お立ち台では「夏場にばててしまって迷惑をかけた。これからがんばりたいと思います」と復調宣言した。

○…先発の大道は4回4失点で2軍降格が決まった。1回1死一、三塁で中田の中犠飛で先制を許した。なお2死一塁で、岡本和の適時二塁打でさらに1点を失った。2-2の4回無死一塁では、ポランコに2ランを運ばれた。「ストライクを入れる中で(球に)強さがないと1軍では(スタンドに)運ばれる。(2軍で)結果を出してすぐ上がってきたい」。1軍では3戦で0勝1敗だった。

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