ロッテ石川歩投手(34)はじっと、中村奨吾内野手(30)を見つめていた。

空気が変わりやすい6回、先頭野村勇の強いゴロを中村奨がしっかりと止めた。目が合う前で見つめ、合うと右手でOKポーズを交わし合った。

石川は「感じは良かったんですけど、コントロールがあまり良くなかったですね」

今季初のペイペイドームはそんな状況ながら、松川のリードや、内野陣の好守もあり、しっかりとスコアボードに0を並べた。

今季は腰痛で一時離脱したが「終わったことですし、しゃあないんで」と今できることに集中する。優勝戦線から大きく離された状況から、ようやく借金を2まで圧縮してきた。

「中継ぎがいいので、しっかり試合作って、長いイニング投げられれば」

先発の仕事に集中するだけ-。淡々とした石川は取材を終えると、安田の取材の輪を眺めだした。珍しいシーン。温かいまなざしでじっと見る。安田も気になる。目が合う。ニヤリ。それが二度、三度。

安田が報道陣に昨夜食べたものを問われた。

「ハンバーガー食べました!」

元気よく答えた。一体、何が違ったのだろうか。石川は温かい目のまま、何も言わず、輪を離れてバスへ向かった。【金子真仁】