日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が8日、現役引退を発表した中日福留孝介外野手(45)に感謝のコメントを寄せた。2人は阪神在籍時に13年から19年までの7年間をともに戦った盟友。ハワイ自主トレを共にするなど絆が深く、後輩は最大限の敬意を「見て学ばせてもらった」と表現した。【聞き手=佐井陽介】

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今は「ついに終わってしまうんだな」という感情です。福留さんは45歳になった今も体が強いし、技術も高いまま。いつまでもプレーしてくれるイメージがあったので、寂しい気持ちがないといえばウソになります。ただ、球団からの話を待つまでもなく、自らパッと引き際を見極められる決断力はさすがです。あらためて筋が通っている先輩だなと感じました。

福留さんは常に学ばせてもらう相手でした。自分がプロの世界に飛び込んだ時にはもう中日でバリバリに活躍されていて、プロ野球選手の立ち振る舞い、雰囲気を教えてもらいました。カブスなど大リーグでプレーされていた時期は、日本人選手がメジャーで活躍するすごさ、難しさを勉強させてもらいました。さらに13年から阪神で一緒に戦わせてもらった7年間は今、自分にとってかけがえのない財産となっています。

身近で時間を共有させてもらう中で、時には自分がしんどい思いをしてでも後輩に厳しく接する姿も見てきました。「この選手をなんとかしてあげたい」という情熱がなければ、とても福留さんのような行動は取れなかったはずです。中日に戻った最後の2年間も、京田選手ら後輩の選手たちに惜しみなく技術を伝えている場面を目にする度、先輩としてあるべき姿を学ばせてもらいました。

本音を言えば、サッカー界のカズさんのようにいつまでも現役でプレーしてほしかった。とはいえ、PL学園時代からずっとトッププレーヤーであり続けて、想像を絶する大変さもあったはずです。福留さんのことだから、きっと最後の最後まで現役生活を全うされるのでしょう。そして、いずれは指導者などの形で野球界に貢献されるのだろうと想像します。ただ、今はただただ少しはゆっくりしてほしいと願うばかりです。本当にお疲れさまでした。(日刊スポーツ評論家)