プロ野球の12球団合同トライアウトが8日、楽天生命パーク宮城で行われ、49人(投手26人、野手23人)が実力をアピールした。巨人から戦力外となった井納翔一投手(36)は打者3人に対する実戦形式で最速147キロをマークするなど、力のある直球を披露。有料観客3141人が見守る前で、現役続行への執念を見せた。

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井納は動じなかった。先頭の安部にスライダーを中前打された。プロ10年、通算51勝の経験は伊達じゃない。真砂をカウント1-2からスライダーで遊ゴロに仕留めると、黒瀬を初球、この日最速の147キロ直球で遊ゴロ併殺打に仕留めた。わずか7球。「ベイスターズの時ぐらい」まで切れを取り戻した宝刀フォークを見せる機会はなかったが「守備の時間は短い方がいい」と意に介さなかった。

当初、トライアウトを受ける予定はなかった。だが、自らを客観視すると翻意した。「36歳で実績はあるけど『投げられるの?』と思われては後悔する」。今季は6月に1死も取れずに降板した試合もあったが、8月のヤクルト戦では2試合連続無失点。巨人移籍後の初勝利、4年ぶりのホールドを挙げた。「1年間ずっといい状態でけがもなくできた。打たれて成績が悪かったら引退も考えたかもしれないけど」。シーズン防御率1・80で幕を引くわけにはいかなかった。

持てる力を発揮した降板後は、さっぱりした表情だった。「自分本来の、球数少なくテンポよく、ゴロアウトで1イニングをしっかり投げ切れた。良かったと思います」。獲得希望球団があれば、5日以内に連絡が届く。【斎藤直樹】

 

○…18~20年まで巨人の外野手だった村上が、投手として受験した。打者3人を二飛と2者連続の空振り三振に仕留めた。関西独立リーグの堺で投手として2年間プレー。直球は参加26投手で最速の150キロをマークした。スタンドで視察した巨人桑田コーチは「スピードは一番分かりやすい指標ですが、切れとかコントロールとか球持ちとかマウンドさばきとかを重点的に見ています」と話した。

▽巨人桜井(最速148キロで二塁内野安打、四球、一塁ライナー)「戦力外を受けて2日間ぐらい寝込んで苦しい日々だった。楽しむことだけ考えて腕を振って投げた。持ち味の腕の振りは出せたので悔いはない。100点」

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