今オフから導入された「現役ドラフト」が9日、非公開で開催され、ロッテからは成田翔投手(24)がヤクルトへ移籍することが決まった。

移籍が決まり、球団を通じて「自分の中では少し『あるかな』という思いはありました」と率直な胸の内を明かした。

秋田商の小さなエースとして、15年夏の甲子園を沸かせた。先輩のヤクルト石川に姿を重ねる人もいた。社会人野球の選択肢もありつつ、ドラフト3位指名したロッテを選んだ。7年間で1軍登板は15試合。順風満帆ではなかった。

21年にサイドスローに取りかかった。1度オーバースローに戻したが、再び腕を下げた。「(1度サイド転向に)失敗して、自分の中でも曖昧な部分があったので、失敗したけどもう1度挑戦したい気持ちもあった。左に絶対打たれたくない気持ちもあるので」。

同タイプのソフトバンク嘉弥真に師事しスライダーを学び、シュートも投げ始めた。しかし、1軍に左腕リリーフが不在のチーム状況ながら、お呼びがかからなかった。それでも腐らずにこのオフも、懸命にZOZOマリンで走り込む姿があった。

高校を卒業し、雪の積もる故郷から秋田新幹線に乗って上京した。「母と妹と3人でしたね。僕が1人席で、母たちが並んで座って。寮に入って、最初にみんなで家電を見にいきましたね」。懐かしの門出から7年が過ぎ、現実の厳しさも味わいながら、今回あらためてのスタートに。「この新しい制度で新しいチームに移籍をして、しっかり結果を出すことで千葉ロッテマリーンズに恩返しができれば」と決意した。【金子真仁】

◆成田翔(なりた・かける)1998年(平10)2月3日生まれ、秋田県出身。秋田商1、3年夏に甲子園出場(3年夏は8強)。U18W杯代表で準優勝。15年ドラフト3位でロッテ入団。17年に2試合先発。18年のU23W杯、日米野球出場。170センチ、78キロ。左投げ左打ち。投手。来季推定年俸650万円。

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