日本ハム金子千尋投手(39)を取材してみて実感したのは、意外と話す人なんだ、ということだ。

昨年の春季キャンプで、ブルペン投球を観察した。ずっと言葉を発しながら投げていた。練習後に理由を聞いた。「僕は、しゃべりながらやるので」。言葉を投げかける先は捕手だったり、自分自身だったり。最後にスライダーを投げる直前は「1球で決める」と宣言して右打者の外角低めへズバリ。「自分で言うことによってプレッシャーをかけて、しっかりそこに投げたい」。書き切れないほど、話しながら投げる意図の一端を明かしてくれた。

その際に、シーズンへ向けた布石を打つのも春季キャンプのブルペンで大事なことだと教えてくれた。審判が捕手の後ろに立つ時に、あえてストライクゾーンのギリギリを狙うこともあったという。「この軌道はストライクかボールか。ストライクなら、シーズンでもよろしくお願いしますよ、という駆け引きですね」。その思考に感心したし、こんなに話してくれるとは思わなかった。

そんな取材シーンは数知れず。勝手に孤高の大投手というイメージを持っていたが、的確で伝わりやすい表現を心がける部分には律義な人柄も伝わってきた。後輩たちが慕う理由も、よく分かる。どんな指導者になるのか、とても楽しみだ。【日本ハム担当=木下大輔】

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