日本ハム上沢直之投手(28)が「七色の変化球」でピッチングを極上のものへビルドアップする。

2日に沖縄・名護キャンプで初のブルペン入り。スライダーとカットボールの中間の横変化をする新球種「スラッター」に手応えを得るなど、たっぷりと96球を投げ込んだ。今季は力強い直球と、従来の4種類の変化球と改良したフォーク、スライダーも含めた7種類を組み合わせ、打者を意のままに打ち取っていく。

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上沢が7つ目の新たな変化をするボールを手中に収めた。今キャンプ初のブルペンで「スラッター」という声が響いた。投じたボールは直球のようなスピード感ながら、右打者からは曲がり幅がやや大きく逃げていった。「ある程度、自分のしてほしい動き方をしてくれてるかなと思う。まだ詰める部分はあるが、いろいろ取り組んできたことが、しっかり出せているのはいいことかなと思います」。新球種に手応えを得た。

どのような変化をし、なぜ取り組んだのか。上沢本人が解説した。「簡単に言えば、スライダー寄りのカット(ボール)ですかね。スライダーとカットの間みたいなものを、つくりたいと思っていた」。昨季は対右打者は被打率こそ2割1分7厘と対左打者(同2割4分1厘)より抑えたが、被本塁打は8本(対左は同7本)。「右打者には特に使っていけたらいい」と、手数を増やして完璧に抑え込むことをイメージした。

これで操る変化球は7種類となる。以前から投げているカーブ、ナックルカーブ、カットボール、チェンジアップ。フォークは「しっかり空振り取れるフォーク」と揺れて落ちるタイプに。スライダーは「もともと投げていたスライダーを投げなくして、新しいスライダー。横にカーブを投げている感じ」と改良。ここにスラッターが加わり、直球を軸とした投球のバリエーションが大きく増える。

1つだけ、悩みがあるとすれば…「フォークも何種類かあるので、それを入れたらサインが足りなくなる」ことだが、状況に応じた対応力のあるエース右腕なら心配無用だろう。「変化球はある程度、投げられると思った。あとは真っすぐを確率良く、強い球を投げられるようにしたい」。7個集めたら願いをかなえてくれるドラゴンボールのように七変化の“レインボール”を携えて最高の結果を残せば、夢のメジャーへの扉は開く。【木下大輔】

◆上沢の新たな球種 それまではストレート、スライダー、フォークが中心だったが、15年のキャンプではチェンジアップとカットボールの習得に励み、球種を増やした。18年のキャンプでは新加入のロドリゲスからナックルカーブの握りを教わった。19年のキャンプでは投球術に磨きをかけるため、カットボールを右打者の内側からえぐってストライクボールを投げる「フロントドア」に挑戦。21年のキャンプではシンカー習得を目指したが、抜けが甘く未完成に終わった。

○…来日2年目の両打ち助っ人アルカンタラが、キャンプ中は左打ち限定に挑戦する。1日紅白戦では左腕北浦との対戦で左打席に立った。「ビッグボス(新庄監督)から左投手相手に左で打ったら面白いんじゃないかと言われた。今だけの取り組み」と説明。かねて新庄監督は左打席でのパワーを評価し、「キャンプで左投手の時も左で」と話していた。一塁守備とともにチャレンジする。