日本ハムのドラフト1位矢沢宏太投手(22=日体大)が高い洞察力を駆使し、道内球場初安打、初打点を挙げた。

4日に札幌ドームで行われた楽天とのオープン戦に途中出場。7点を挙げるビッグイニングとなった同点の7回1死満塁で右翼への適時打を放ち、これが決勝打となった。1打席目は三振に倒れていたが、空振りを奪われた変化球の残像を記憶し、2打席目の安打につなげた。精密な観察眼と高い再現性を見せ、開幕スタメンのオーダーを決めかねている新庄監督に猛アピールした。

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二刀流ルーキーは1打席目の三振を無駄にはしなかった。矢沢は6回に代打で楽天辛島のスライダーに空振り三振。その変化の軌道を頭に焼き付けていた。「横滑りのようなスライダーで、今までにはないような球だった。変化球が多いピッチャーだというのも分かった」と初対戦で感じた印象と球筋をインプット。「1度見たボールの軌道っていうのは自分の頭の中に残っているし、2回目以降は反応できる」。続く同点の7回、辛島との2打席目でスライダーをすくい上げるように捉えて、しぶとく勝ち越しの右前適時打を運んだ。

「投手矢沢」としての考え方も頭を巡らせながら、2打席目に臨んでいた。「満塁だったので、打ち取る確率の高いボールを僕がピッチャーだとしたら選択する。三振を取られたボールと同じボールが来るのかなというのはあった」。思惑通り、2球で追い込まれた後の3球目、119キロのスライダーが投げ込まれた。オープン戦3試合で8打数5安打とコンスタントに結果を出しており、オーダーの大半を決めかねている新庄監督をさらに悩ませる存在になっている。新庄監督は「三振を取られたスライダーを振っていく。頭の良さもあるのかな」と絶賛した。

野手としての開幕スタメン入りに手応えを得ている気持ちが、無意識に行動に表れることもあった。1日、チーム練習前に投手と野手、コーチ陣の3グループに分かれてエスコンフィールドを見学したが、本来投手組だった矢沢は野手組に交ざろうとしたという。「今は野手が一番(開幕スタメンに)近いところだと思う。野手として試合に出ることが多くて、意識してしまう」。卓越した洞察力を武器に、まずは野手として大成するつもりだ。【石井翔太】

○…清宮が監督に感謝の2安打を放った。3点ビハインドの7回先頭で左中間二塁打で出塁。この一打が口火となり、この回一挙7点を奪い逆転した。2安打2打点に「5番という役目をまっとうしようと打席に入った」。前日の球団イベントで新庄監督が「(清宮が)ちょっと太ってきた」と発言したことに「キレがないように見えるのかも。そうやって名前を出してくれることが、うれしかった」と振り返った。

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