阪神井上広大外野手(21)がプロ入り初の猛打賞&4打点で大量得点に貢献した。23日中日戦以来、2戦ぶりの「6番右翼」で出場。先発伊藤将の1軍復帰戦で5打数3安打、長打3本と大爆発。「(ヒットが)出なかった悔しさだったりを持って練習に臨んでいる。それが今日、結果として表れた」と喜びをかみしめた。

2回の第1打席で先制につながる左翼への二塁打。大量6得点を決めた3回にも、再び左翼への2点適時打で貢献した。9点リードで迎えた8回には1死一、二塁から右中間を破る、ダメ押しの2点適時三塁打。「1打席目で打てることが少なかった。いつも以上に集中して打てたので、次の打席とかにつながった」と要因を明かした。

今年一番の虎祭りは終わらず、この回6得点。5試合ぶりの2桁安打は、今季最多となる19安打にまで伸び、15得点を記録した。井上はこの試合までに3安打を放っていたが、左翼への当たりは初。「少しずつ打球とかも良くなっていた。いずれレフト方向の打球も出ると思いながら臨んでいた」と調子は上向きだ。

この試合までのチーム打率はセ・リーグ4位タイの2割2分5厘。湿っていた打線の起爆剤に助っ人ミエセスの名前を挙げた岡田監督は「ミエセスの名前出したら、井上が打ちよったな」とニンマリだ。

19年ドラフト2位で入団し、以降はコロナ禍に突入。声出し応援は今季が初体験だ。履正社3年時には4番打者として春夏で甲子園に出場。夏は優勝も果たした。だが球場全体から受ける虎党の熱気は、記憶に残る大声援をも上回った。試合後はお立ち台にも選出。「自分がしゃべったとしても何も聞こえない感じ。こんな大音量の中で、生活も含めて(経験)したことがない。本当に温かいご声援を頂いていると思う」と驚きを語った。甲子園をわかせた大砲が、再び聖地で大歓声を浴びた。【波部俊之介】

▼阪神の15得点は20年7月28日ヤクルト戦(神宮)での20-5以来。巨人戦の15得点は07年8月8日(東京ドーム)以来、16年ぶり。

▼阪神の15得点以上での完封勝ちは1リーグ時代も含めて球団5度目。巨人戦での最多得点完封勝ちは13-0が最高で、球団史上最大の大勝になった。

▼阪神が15点差で巨人に大勝。過去の巨人戦での最多得点差は05年9月13日(長崎)での16-1が最大。今回は15点差でこの試合と並び最多得点差タイ。

<井上の初ものづくし>

◆初猛打賞 1試合3安打はプロ入り後最多。1試合複数安打が初めてで、この日の試合前までで通算4安打だった。

◆初の1試合4打点 4打点はプロ入り後最多。試合前まではプロ通算2打点。20年10月16日ヤクルト戦と23年4月20日広島戦(ともに甲子園)での各1打点だけだった。

◆初得点 2回に木浪の左犠飛でプロ初得点を記録。3回と8回にも生還し、この日は3得点とダイヤモンドを駆け回った。

◆初三塁打 8回1死一、二塁で左腕・今村から右中間に三塁打。すでに二塁打は放っており、残す長打は本塁打のみとなった。