元虎戦士が、痛快に“虎退治”だ!日本ハムは9日、「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦(エスコンフィールド)に4-0で快勝。阪神OBの新庄剛志監督(51)が、阪神から移籍してきた江越大賀外野手(30)を初めて「1番センター」で起用し、その江越が4回に右越えの4号ソロを放った。監督就任2年目の新庄監督は、古巣からは4試合目でようやく初勝利をゲット。チームの連敗も3でストップした。

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もはや、どちらのファンの絶叫か分からなかった。日本ハム江越が古巣阪神戦で、恩返しの右越え4号ソロを放った。3-0の4回、阪神の2番手、西純の直球をバットに乗せた。新球場のスタンドで揺れる日本ハムの背番号37と、縦じまの背番号25のユニホームやタオル。「あの球だけクイックで投げて来た。タイミングだけ合わせて、うまく対応できた。打球が低かったのでライト前かな~と思ったら、行っちゃいました」。一塁を回ると力強くガッツポーズ。新庄監督ら首脳陣も、互いにグータッチで大喜びだ。

同じく阪神OBの新庄監督の“魔法の言葉”が、打撃低迷中だった江越の背中を押した。約1カ月前に3試合連続本塁打を放ち、SNS上では「江越覚醒」がトレンド入り。だが、最近は元気がなかった。この日の試合前、いつもより、かなり早い時間帯にグラウンドに顔を出した新庄監督は「1番センターね!」と、早出練習中の江越に通告した。移籍後初の1番起用。新庄監督は理由を「タイガース出身で何かやってくれそうな気がした。右方向に左バッターのような打球を打てる」と説明し、期待に応えた1発に「ライトライナーかと思ったんですけどねえ。あの打球が打てるんだもん」と、うなった。

乱視矯正のゴーグルを試すよう提案するなど、とにかく「江越覚醒」に心を砕く新庄監督は「苦労してきた選手。なんとか花を咲かせてあげたい気持ちが、すごくある」と親心を隠さない。監督自身も昨季から4度目の対戦で、ようやく阪神戦に勝利し「タイガースに育ててもらって、そのチームを相手に監督をしているなんて、不思議な感覚。今日は勝ちたかった」と、勝利の余韻に浸った。

チームは連敗脱出で“新庄覚醒工場”は順調に稼働中。10日も「スタメン江越」で、再び勝ちに行く。【中島宙恵】

◆新庄監督と岡田監督 90~93年までともに阪神で選手としてプレー。岡田は94年にオリックスに移り、翌年引退。98年に2軍打撃コーチで阪神復帰し、翌年からは2軍監督を務め、再びともにタテジマのユニホームを着た。新庄は01年からMLBでプレーし、04年に日本ハム入団。岡田は同年に阪神1軍監督に就任。04年の球宴ではセを指揮した岡田監督の前で新庄が単独本盗を決めている。05、06年には選手と監督として交流戦で対戦。05年には新庄が2本塁打したが、2シーズン合計では日本ハムの5勝7敗だった。

【動画】江越大賀が古巣から4号ソロ なんと、なんと逆方向へ 貴重な追加点にベンチ大喜び