ロッテ佐々木朗希投手(21)が己をまた一つ超えた。「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦(ZOZOマリン)に先発。プロ入り後の自身最多となる109球を投げ、本拠地で初の165キロもマークした。6回終了時には吉井監督に続投を志願。若きエースが自覚たっぷりに7回2失点で今季5勝目を挙げた。三振も10個奪い、リーグトップの79奪三振。満員御礼のファンの前で連勝に導き、リーグ首位の勢いも加速させた。

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「もう1回いきたいです」。佐々木朗が95球で6回を終えてベンチに戻ると、吉井監督に力強く伝えた。常に1イニングでも多くとは思っていますし、今日に関しては5回に(2点を)取られて自分で点差を縮めたので、自分でいって抑えないと勝ちにふさわしくないと思った」。これまでは100球前後が目安だったが、みずから“朗希基準”を超えた。「球数よりもイニング。(中指のマメで)5月にけっこう(登板が)飛んでしまったので」。プロ4年目を迎え、侍ジャパンでWBCも経験し、チームを引っ張る自覚の象徴だった。

吉井監督も決断を尊重した。「いずれは(常時)100球超えしなくちゃいけない。110球近くまで。本人にいく気があるのなら今日かなと思って」。昨季は完全試合を達成した4月10日オリックス戦の次戦、同17日の日本ハム戦で102球を投げて8回完全投球でも交代するほど徹底してきた。本人が体のケア方法を磨き、ケガをしない体を身につけたことも理由の1つ。指揮官も「120球を超えてくると、中6日はきついと思う。(現時点では)110球前後。そのへんは彼の体の成長を見ながらやっていきたい」と計画を練っている。

佐々木朗の気持ちを熱くさせたのは、5回の失点場面だ。2死満塁で羽月。「フォアボールが一番嫌だったので」と直球で押し、4球目に日本人最速で自己最速タイの165キロ。最後は9球目の163キロ直球を左前に運ばれた。昨年から続いたZOZOマリンでの連続イニング無失点も「33」で止まった。「決めきれなかったのは相手が一枚上でした」。だがその反省も生かし、6回以降の4奪三振はすべてフォークだった。

交流戦の勝利はプロ初勝利を挙げた21年5月27日の阪神戦(甲子園)以来。本拠地では初勝利となった。次も中6日で交流戦最終戦の18日DeNA戦(横浜)が予想される。お立ち台では「来週も勝てるように」。2万8738人の大観衆に、笑顔で右腕を上げて約束した。【鎌田直秀】

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