1軍に緊急昇格した西武岸潤一郎外野手(26)は、朝6時半に起きた。

2軍の試合がロッテ浦和球場で午後1時から予定されていた。ウオーミングアップをしようとしていた。午前10時半。特例2023の代替指名選手として、1軍昇格を告げられた。今季初の1軍。シーズンももう6月に入り、形の問題ではない。「喜び100やったっす。よし、ようやくや! 頑張ろう、って」。

所沢の球団施設に1度戻り、ユニホームを取って、東京ドームへ向かった。昇格し、いきなり2番右翼でスタメン。相手は初対戦の巨人戸郷。「日本を代表する投手なので。1軍で投げてる人は全員えぐいと思うので、それも楽しみながら、しっかり結果を残せればと思います」。試合前にそう意気込んだ。

言葉を現実にする。初回いきなり戸郷に9球投げさせ、四球を勝ち取った。3回と5回には2打席連続安打。「変に小細工せず、ちゃんと振り切れたので、落ちるところに飛んでくれました」。試合には敗れたものの、チームの流れを変える存在になりうる働きを、合流初日からしてみせた。

東京ドームはプロ初本塁打を打った思い出の場所でもある。それでも久しぶりの1軍戦。「勝手に力が入って、緊張して。守備中に足つってたっす」。2軍では二塁守備にも取り組んだ。「自分から(二塁守備を)言いました」。あらゆる場面でもチームの力になれるように。蓄えてきた思いを存分に表現した。

ナイターの時間は普段は家にいた。「眠たいです。娘、寝かせている時間なんです」。それでも充実感が表情に浮かぶ。

「特例(昇格)なんで(今後は)分からないですけど、しっかりアピールは続けていきたいです」

そう力強く言い、午後10時20分、東京ドームを後にした。「もう寝てますけどね」。かわいい寝顔が待っている。【金子真仁】

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