日本ハム上沢直之投手(29)が、8回6安打無失点で、チームトップの7勝目をつかんだ。6月16日中日戦(バンテリンドーム)以来42日ぶりの白星で、パ・リーグ相手の勝利は、5月17日西武戦(エスコンフィールド)以来72日ぶり。27日には母校の専大松戸(千葉)が2年ぶり3度目の夏の甲子園出場を決めており、先輩も負けじと力投した。

  ◇  ◇  ◇

久しぶりに味わう勝利の味だった。本拠エスコンフィールドでお立ち台に上がるのは5月17日以来約2カ月半ぶり。「すごく苦しかった。自分の仕事を全うしてチームの勝利に貢献することだけ考えて投げた。こうして勝ち星がついてすごくうれしい。(チームが)仙台で2つ勝っていい流れがきていたんで、それだけを切らないように」。プレッシャーを感じながらも、巻き返しを図るチームの勢いを、しっかり次につないだ。背番号15の復調に新庄監督も「上沢君の季節がやってきた!」と喜んだ。

屋根を開けた中での初のナイトゲーム。日が沈むにつれ湿度が増し、試合開始の18時で気温28度、湿度76%。うだるような暑さの中「湿度がすごくて汗がすごい。僕、普段ロジンつけないんですけど、いつもよりつけました。めっちゃモクモクさせようかな、見えづらくさせようかなと」。東京五輪で注目された伊藤の“追いロジン”を、機を見て拝借し、快投した。

クレバーな投球もさえた。6回まで散発3安打。落ちついた投球で二塁を踏ませず終盤7回1死一、二塁、8回1死一塁の場面では、カーブを続けて併殺に切って取った。「(カーブは)前まで指先で曲げてたんすけど手のひらごと曲げるみたいな感じに変えた。今まで頑張っても126、7。今は130キロぐらい出ている。3キロ変わっただけで、だいぶ違う」。ちょっぴり速さの増した新カーブを勝負どころで生かし、猛牛打線を幻惑した。

母校の専大松戸が甲子園出場を決め、この日の午前中には恩師の持丸監督に、電話で祝福のメッセージを伝えた。「母校が(甲子園に)出てないよりは出てる方が面白い。僕の夏の楽しみが増えました。差し入れも考えます」。ここからさらに勝利を重ね、後輩たち同様、目いっぱい楽しい夏に仕立てていく。【永野高輔】

▽日本ハム建山投手コーチ(上沢の投球に)「2回り、3回り目に手を残して試合を進めていく彼のいいところが、ここ何試合か出ている」

【関連記事】日本ハムニュース一覧>>