4イニング連続無安打から土壇場に「逆転のカープ」が発動した。

1点ビハインドの9回。広島菊池から連打と野選で満塁。1死後に小園が初球をたたいて同点に追いつくと、最後はチーム最年長の松山竜平外野手が決めた。「打てるところは全部振ってやろうと。それくらいの気持ちじゃないと多分いい結果は出ない」。初球をとらえ一塁岡本和が倒れ込みながら止めるのが精いっぱいの決勝内野安打。自身代打通算100安打で、球団最多タイの4本目の代打サヨナラ打となった

高ぶる理由は、5回にあった。先頭の会沢が2球内角球が続いた後の4球目を左腕に死球を受けて激高した。今季、巨人戦の死球は16試合で13個目。他4球団からの死球数と比べてダントツで、7月11日には右腕に死球を受けた菊池が翌日から2試合先発から外れたこともあった。無死一塁から無得点に終わるも、会沢の姿と代打攻勢が士気を上げた。「アツ(会沢)の力も借りました」。チームメートと喜びを爆発させた松山の手首には会沢のリストバンドが着けられていた。

引き分けを挟み連勝で、首位阪神に1・5ゲーム差で追走する。松山は、チームの成長に確かな手応えを感じている。「先頭のキクが出てから、これはあるなと思った。僕まで回ってくると。今のチームはすごく楽しいし、強い。このままいけると思います」。新井監督が「家族」と表現するチームは試合を重ねながら強く、戦う集団となっている。【前原淳】

 

▼松山が9回に代打でサヨナラ安打。松山のサヨナラ安打は22年8月17日中日戦以来5本目で、5本のうち4本を代打で記録。代打サヨナラ安打を通算4本はセ・リーグ2位タイで、広島では浅井に並ぶ球団最多となった。また、5本のうち3本を巨人戦でマーク。巨人戦で3本のサヨナラ安打は球団史上初めて。

 

▽広島新井監督(サヨナラ勝利に)「本当によく打ってくれましたね。小園もそうですし、最後の松山さんも。みんなで勝ち取った最後だったと思います」

▽広島小園(9回1死満塁で同点打)「(前打者上本に)粘ってもらえたので、いろいろ配球も見られました。何とか前に飛ばして、何でもいいからことを起こすしかなかった」

▽広島大道(8回から2イニング無失点で2勝目)「回またぎが久々で(点を)取られているイメージがあったので、集中しなおして1球目からしっかり投げていこうと意識しました」