“大王”が新本拠地でよみがえった。日本ハム王柏融外野手(29)が、新球場初出場初打席で復活の2点三塁打。16日ロッテ戦(エスコンフィールド)の2回、1点先制してなお1死一、三塁から、ファーストストライクを左中間へ運んだ。昨オフに事実上の戦力外を受け、育成選手として契約し、日本球界に再挑戦。地獄からはい上がった台湾の英雄が、持ち前の巧打でチームを今季3度目の4連勝へ導いた。

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新球場で浴びる歓声は、格別だったに違いない。7月30日に、育成契約から支配下に昇格した台湾の英雄“大王”こと日本ハム王は「久しぶり!」と本拠地ファンとの再会を喜び「めっちゃ、気持ちいい!」と、お立ち台で大絶叫。球団の助言もあって、通訳に頼らず日本語で、自分の声で思いを伝えた。

今月15日に、満を持して1軍に合流した。この日、「8番DH」でスタメン出場。昨年9月28日ロッテ戦(札幌ドーム)以来、約1年ぶりの1軍の舞台だった。2回。1点先制して、なお1死一、三塁で今季初打席がまわってきた。1ボールからの2球目、外角のファーストストライクを、逆らわずに左中間へ。「1軍に上がって最初の打席でヒットが出た。すごく新鮮な気持ち」。三塁へ滑り込むと、気持ちを爆発させるように両拳を握った。

昨オフ、事実上の戦力外となったが、育成選手として日本球界でリスタートすることを決めた。「ファイターズでプレー出来るチャンスを大事にしたかった。支えてくれた方への感謝。それが(日本球界に残る)決め手になった」。背番号は199に。台湾で3冠王になり打率4割を誇った英雄は、過去の栄光に甘えることなく、日本球界での成功を諦めなかった。

新庄監督は「今日は、うれしかった。(四球を選んだ)最後の打席も、ノースリーから台湾まで飛ばして欲しかったけどね」と、冗談交じりで挫折を乗り越えた“大王”の再出発を祝った。王は「記念の1日。低迷している状態でも、頑張って耐えてきた自分に感謝したい」。8月16日は“大王”の復活祭。背番号99が、よりたくましく、よみがえった。【中島宙恵】

▽日本ハム上川畑(プロ初の2試合連続決勝打)「チャンスで打てたのは良かったけど、まだまだ。打席の内容は良くなってきたので、続けていきたい」

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