8-7の「ルーズベルト・ゲーム」で終止符を打ったのは、巨人のルーキーズを背中で引っ張る門脇誠内野手(22)だった。

3位DeNAに満塁弾を浴びるなど2回までに7失点の展開から、9回2死一、三塁で左前へ決勝打を放った。61年ぶりに新人5人出場の前夜に続き、この試合でも5人出場。開幕から1軍で好守、好走塁を続ける門脇が、負ければ自力CSが消滅する危機的状況をバットで救った。チームの連敗は2でストップし、3位DeNAと3ゲーム差となった。

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門脇が短く持ったバットで食らいついた。同点の9回2死一、三塁。2回までに7失点の劣勢から追いついた展開に「いけると思った」と頭は冷静だった。DeNA上茶谷の内角カットボールを逆方向へ。左前に落ちる決勝適時打を決め「最近はあっち(左)方向に飛ばなくて全部引っかけていたので、しっかりバットを振ってよかった」と納得の表情だった。

特殊サングラスや酸素発生器など、アイテムをフル活用する中、バットにも試行錯誤を重ねてきた。「粘り強い打撃が生かせるようにファウルが打てるバットが理想」と相性の良い相棒を探し回った。長野、岡本和、吉川、岡田、菊田と同僚だけでなく、広島田中、DeNA楠本や大田のバットを拝借した。「田中広輔バット」に落ち着いた7月以降は打率3割1分3厘。“8人分のバット”の力で武器の守備力だけでなく打撃でも存在感を示す。

ルーキーズの初の勢ぞろいだった。松井が昇格し支配下の新人6人で試合前、記念撮影。その松井が2番手で登板し、船迫が5回を3者凡退に抑えて逆転劇へとつないだ。新人唯一、開幕から1軍で奮闘し続ける門脇は前夜、1回に守備の挟殺プレーで捕球ミス。2試合連続3失策目だった。「申し訳ない気持ちでいっぱい。今日も若手が投げているので、若手でしっかり返そうという思いはありました。いるだけじゃ意味ない。勝つためにい続けられる全員になっていきたい」と汚名返上で連敗ストップに成功。若い力が希望の光となる。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(決勝打の門脇に)「日々成長していると思いますね。素晴らしい」

○…岡本和が3戦連発となる37号ソロで、逆転劇を演出した。2点を追う5回先頭、DeNA宮城の外角147キロ直球を左翼席に運び1点差に詰め寄った。体調不良による復帰から3試合で12打数6安打と、大きな存在感を示し続ける4番は「勝ちたかったので勝ててよかった。あとは勝つしかないので、頑張って勝ちたいと思います」と言い聞かせるように“勝ち”を連呼した。

▽巨人丸(2回の15号ソロ、8回の同点適時打を含む4安打3打点)「打つか打たないかで展開が変わってくる場面で、役割を全うできたと思う。(逆転CSへ)何とかみんなの力で踏みとどまった。ワンチャンス、ツーチャンスあるので、切り替えてやれたら」