パ・リーグが熱い! CS争いを繰り広げる3チームが、いずれも1点差ゲームをモノにした。午後9時1分、2位ソフトバンクが中村晃外野手(33)のサヨナラ弾で本拠地を沸かせると、同41分には、敵地大阪で楽天が1点のリードを守り切り勝利。もつれにもつれたZOZOマリンでは、同49分にロッテ石川慎吾外野手(30)が右越えサヨナラ二塁打を放った。2~4位まで1・5ゲーム差の中にひしめく大混戦は、シーズン最後まで続く。

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“寡黙な男”が流れを引き寄せた。楽天島内宏明外野手(33)が初回1死三塁で先制中犠飛を放つと、3回2死二塁では、外角ボール気味の127キロスライダーに体勢を崩されながらも、バットの先で中前に運んだ。10連敗と苦手としていたオリックス田嶋相手に貴重な序盤の2打点。20年10月22日の対戦以来となる勝利で、チームは4月7日の勝率5割復帰だ。

開幕から不調が続き、打率は1割台に低迷した。だが8月は月間打率3割7分5厘と状態を上げ、9月も7試合連続安打中と好調を維持する。その要因は、右手をあえて“力ませる”こと。本来は「インパクトはあまり(力を)入れたくない」というが、ポップフライが多かったことから、発想を転換。「右手を強くするだけで、(打球が)上がりすぎないようになった」。勝負強い打撃を取り戻した。

昨年までは、独特な表現の試合中談話でファンをざわつかせてきたが、今季は“島内語録”を封印。黙々と試合に集中している。この日の試合後も「また明日お願いします」と語り、バスに乗り込んだ。シーズン前半はなかなか貢献できなかったからこそ、責任感を強く持つ。

ソフトバンクも勝ち、差は詰まらなかったが、ぴったりと並走。Aクラス、そして本拠地仙台でのCS開催へ向けて、大きな1勝になったことは間違いない。「また明日」。その言葉通りの「勝利の一打」で、チームを加速させていく。【湯本勝大】