ソフトバンク柳田悠岐外野手(35)が反攻アーチをかけた。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの第1戦でロッテ佐々木朗に3回完全投球を許すなど完敗。主将は6回に一時2点差に迫る2ランで気を吐いた。07年以降のCSで黒星発進からファーストステージを突破したのはわずか2チームと、データ上は狭き門。ギータの一撃を逆王手につなげる。

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ソフトバンクが終戦の危機に追い込まれた。CSファーストステージで初戦黒星。残り2試合を2連勝でしかファイナルステージへの切符はつかめない。3位からの下克上を目指すチームにとって厳しい船出。ロッテ佐々木朗には手も足も出ずに3回パーフェクト投球を許した。藤本監督は「病み上がりといっても160キロは出ているし、こっちはヒットを1本も打てなかった。いいピッチャーです」と認め、お手上げだった。

主砲の一打が希望の光だ。0-4の6回1死一塁で柳田が反撃の2ラン。坂本のカットボールを右翼スタンド中段まで運んだ。試合後は「負けたので意味はない」と受け流したが、CS通算9本塁打で歴代2位タイに浮上。同トップ10本塁打の内川に1本差と迫った。30打点は単独2位でトップ内川の31打点に1差。「CS男」は健在で、第2戦以降の戦いにも期待がかかる。日本シリーズを含めてポストシーズンで本塁打を打てば11戦11勝という不敗神話は途絶えた。それでも「また明日頑張ります」と短い言葉で雪辱を誓った。

07年に採用されたCS。ファーストステージの初戦で黒星を喫して突破したのは、15チーム中2チームだけで、確率は13・3%と低い。さらに対象を3位チームに限定すると17年の楽天しか前例がない。藤本監督は「負けは負け。明日負けたら終わりなので、切り替えていくしかないです」と必死に前を向いた。

背水の陣で臨む15日は今季10勝、ロッテに3戦3勝の有原が中5日で先発。何度もチームを救ってきた新加入右腕で、逆王手を狙う。タクトを握る指揮官の手にも力が入る。「全員でいきます。(有原も)悪いと思ったらすぐに代えます。勝つしかないわけだから、選手はそういう気持ちでやってくれれば」。次は意地を見せる。【只松憲】

 

▽ソフトバンク森ヘッドコーチ ロッテに理想的な野球をやられてしまった。もうやるかやられるか。負けたら終わりなので高校野球のトーナメントのつもりで戦うしかない。