オリックス中嶋聡監督(54)が執念の采配も実らなかった。9回1死三塁のピンチで、2者連続で申告敬遠を指示。満塁策で阪神4番大山悠輔との勝負を選んだが、サヨナラ打を浴びた。

指揮官は攻めの継投策を取った。1点を追う5回の守備。先発の山崎福は先頭の近本に136キロ直球を捉えられ中前打を浴びると、中野に犠打を許し、さらに一塁へ悪送球。勝負どころの無死一、二塁、汗を拭う左腕に交代のカードを切った。

第1、2戦は互いに8-0で勝利も第3戦は1点差を争う戦い。甲子園に場所を移す前、指揮官は「こんな展開になるのは昨日も今日も本当に珍しいと思う。僅差のゲームになってくるという考えしかない」と冷静に予想。後手に回るわけにはいかなかった。

1点が勝敗を左右する中で、山崎福の後を受けて登板したのはベテラン比嘉。森下を遊ゴロに打ち取り、続く大山の遊ゴロ間に1点は失ったものの、3人を抑えて見事に火消し。最少失点で切り抜けた。

6回に登板した阿部が3者凡退で終わらせると、直後に味方が2点を奪って同点に。4番手でマウンドに上がったのは小木田だった。移動日を挟みながら、3戦連続登板となる右腕を迷わず投入。内野安打と味方の失策で無死一、二塁のピンチから、後続3人を抑え込みガッツポーズ。必死の継投が実った。

レギュラーシーズンから中継ぎの一角をになってきた山崎颯が、2戦連続でベンチ外。不測の事態にも全員でカバーし合い、全力を尽くした。【磯綾乃】

▽オリックス・ワゲスパック(サヨナラ打を浴び)「とにかく、2人目の打者に四球を与えてしまったのは自分なので。最後は彼(大山)にうまく打たれてしまった。監督がおっしゃるように準備するしかないと思う」