11月も終わりにさしかかる中、西武佐々木健投手(27)は地道にリハビリを進めている。

8月25日に左肘の、いわゆるトミー・ジョン手術を受けた。9月にはまだ肘を器具で固定しながら体を動かす場面があった。

今は? そう問うと袖をめくり、手術痕を見せてくれた。そして動かす。

「10月末で制限が取れたんです。もう、可動域が右肘と同じくらいまでできるようになりました。順調ですよ。痛みも今は全くないんです」

力強い直球を軸に、今季は7月までに1軍で21試合に登板。時にリード時の緊迫した場面も任されながら、7月26日のロッテ戦(ベルーナドーム)を最後に1軍を去り、1カ月後に手術が発表された。

「痛みはありました。我慢できなくなりました」

当時をそう明かす。トミー・ジョン手術は1年から2年、復帰マウンドまで時間を要する。でも。

「先のこと考えて、僕の中でごまかしながら野球やるっていうのはなかったので。長く野球やりたいですし、そのために1回手術に踏み切るっていうのにちゅうちょはなかったです」

そうして人生初めての手術を経験した。麻酔のせいか、手術後は高熱が出て「その日はケータイも触りたくないくらいでしたね」と苦笑いで思い出す。

スケジュールはしっかり頭の中に入っている。

「1月25日で、手術から5カ月なんですよ」

キャッチボール開始は手術から4~6カ月がベーシックとされている。個人差はあるものの、中間値としての5カ月目は長いリハビリでは1つの目標になる。

「春のキャンプからキャッチボールできたらいいんじゃないかな、って。そのあたりを目安に、僕の状態次第で変えていこうと」

1月末にボールを投げられたとしても、4月にブルペン投球…なんてことは思ってもいない。「それは欲張りすぎですよ」と笑う。

同手術を経験した選手は西武にも多い。“先輩”やトレーナー陣にも支えられながら、ゆっくり焦らず、マウンドを目指す。

「来年中に試合でなんとか投げられれば、2軍か3軍で実戦復帰できればいいなと。その後のリターンを見て、手術に踏み切ったので。頑張ります。来年はこんがり焼けます」

育成契約になった2024年。空いたままの背番号26に、必ず返り咲く。【金子真仁】