オリックス佐藤一磨投手(22)は同じ壇上に上りながらも「いつかはあんなふうに」と憧れの表情で見つめていた。視線の先にはチームメートの宗佑磨内野手(27)がいる。

横浜隼人(神奈川)の先輩にあたる。23日、同校OB会主催の宗のベストナイン・ゴールデングラブ賞受賞祝賀会に出席した。トークショーで宗の印象を司会者にふられると「神様です。偉人です」と言った。宗はウンウンとうなずいた。

ロッテ佐々木らと同世代にあたり、育成契約で4年目を終えた。190センチの大型左腕は細身だった体がたくましくなり、今季はウエスタン・リーグで最多勝を挙げた。「今までやってきたことをこれからもしっかり続けて、あとは…」と願う。念願の支配下契約に着実に近づいている。

宗は偉人で、ドジャースと合意した山本由伸投手(25)も雲の上の人だ。「由伸さん、ほんとにすごい方です」と話す。エースと育成左腕の違いはあって、ふれあう機会は何度もあった。

「立ち振る舞いとか練習の仕方とかを勉強させていただいて。ものすごい財産になりました」

特に大きなきっかけになったのが、あることを質問した時の返答だという

「練習したの? どこまで突き詰めたの?」

佐藤は言う。

「自分、それまでは分からないことがあったら簡単に人に教えをこいていたんです。でも、あの言葉がきっかけで『突き詰めて、それでも無理だったら聞こうかな』と考えるようにして」

そうやって伸びてくる中で、1軍の3連覇は3年連続でテレビで見た。

「早くあの輪に入りたい気持ちは強いです」

偉人の勇姿に刺激を受けながら、勝負のプロ5年目へ挑む。「支配下はもちろん、それを越えて1軍定着できるところまでいきたいです」。1年後、背番号を軽くして同じ場所に立ちたい。【金子真仁】