ソフトバンクにFA加入した山川穂高内野手(32)の人的補償で西武に移籍した甲斐野央投手(27)が12日、静岡市内で自主トレを公開した。物議をかもした異例の移籍発表から一夜明け、新天地のチーム名にちなんだライオン柄のヘアバンド姿で登場。「勝ちパターン、守護神を狙いたい」と決意表明し、5年ぶりの50試合登板でチームに貢献する意気込みを明かした。

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急展開で決着した人的補償問題から一夜明け、甲斐野が新たなスタートを切った。ソフトバンクから西武への移籍が決まった時の人が、東洋大時代に同学年だったDeNA上茶谷や中日梅津らとの静岡合同自主トレを公開。新天地のチーム名にちなんだライオン柄のヘアバンドを巻き、すがすがしい表情で汗を流した。「ホークスと対戦できるのが楽しみ」。5年間在籍したソフトバンクとの顔合わせを早くも心待ちにした。

前日11日、FA山川の人的補償で西武移籍が決定した。当初西武は日米通算163勝の和田毅投手(42)の指名をソフトバンク側に打診したが、チームの顔の流出に対する反響の大きさなどを鑑み、両球団が話し合って急きょ方針を転換。その結果、甲斐野が選び直された。急な移籍に戸惑いもあってか、この日の朝は自身のインスタグラムには「絶賛寝不足。初めてこんなに寝れんかった」と投稿。それでも明るくチームを盛り上げてきたムードメーカーはしっかり気持ちを切り替え「(西武で)少しでも力になれるように。勝ちパターン、守護神を狙いたい」とクローザーで活躍する目標を明かした。

西武はリリーフが手薄だっただけに、活躍の場はさらに広がりそうだ。守護神候補の増田は今季36歳シーズン。高橋、平良、隅田ら先発陣は強力なだけに、27歳の最速160キロ右腕にかかる期待は大きい。西武渡辺GMも「ライオンズにはいないタイプの魅力的な投手。いい戦力」と高く評価している。裏を返せば、ソフトバンク打線の脅威になる可能性は十分。今季の西武甲斐野VSホークス打線は、注目の的になりそうだ。

昨年はFA加入した近藤の人的補償として、田中正義投手(29)が日本ハムに移籍。キャリアハイを大幅に更新する47試合登板で、守護神として25セーブを挙げ、大ブレークした。甲斐野も田中と同じドラフト1位右腕。心機一転、鷹のOBコンビでセーブ王を争う展開になるかもしれない。

ルーキーイヤーの19年に65試合に登板。目標を同年以来5年ぶりの50試合登板に定めた。「暖かいコメントをファンの皆さん ありがとうございます」(原文)。フル回転でホークスとファンに恩返しを果たす。

 

◆甲斐野央(かいの・ひろし)1996年(平8)11月16日、兵庫県生まれ。東洋大姫路では主に三塁手。東洋大進学後に投手に専念。1年秋からリーグ戦に登板し、3年秋に最優秀投手とベストナイン。18年ドラフト1位でソフトバンク入団。19年11月のプレミア12は中継ぎで優勝に貢献。20年12月に右肘手術を受け、21年5月に実戦復帰。22年6月17日の楽天戦で160キロをマークした。188センチ、92キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸4000万円。

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