阪神森下翔太外野手(23)が沖縄・宜野座のキャンプで、名手への礎を固めている。日刊スポーツ阪神担当は今回の春季キャンプで「密着」と題し、ナインらの取り組みを随時取り上げる。第1回は中野椋記者が、全体練習後に特守に臨んだ森下の外野守備に迫った。

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ユニホームのお尻の部分に、芝生の緑色がにじんでいた。森下が全体練習後、野口とともに外野特守に臨んだ。何度もスライディングキャッチを披露。後方への打球を追いかけ、ギリギリのところで捕球し続けた。午後3時30分ごろから開始し、約1時間。二塁ベース後方からの工藤2軍外野守備走塁コーチのノックに、元気に反応する背番号1を双眼鏡で凝視し続けた。

捕れるか捕れないか-。球際に強くなれ、と言わんばかりの打球が森下を襲った。ある教訓を胸に白球を追っていたという。

「打球のインパクトの時に焦ることなくスタートを切れば、余分な動きはなくなると思うで」

この日、全体練習中のフリー打撃で近本と一緒に打球を受けた。その時にもらった、3年連続ゴールデングラブ賞の名手からの貴重なアドバイスだ。近本は「早く判断しちゃうと逆をつかれた時にマイナスになる。絶対大事。ゆっくりの方が結果的に良くなる」が持論。これ以上ない教科書が近くにいることは、森下の成長の後押しになるに違いない。

近本の教えを胸に、森下は工藤コーチの打球のインパクトに全集中。それを全体練習後に約1時間も続けたのだから、流した汗も充実していた。「ゴールデングラブ賞をとれるような守備範囲」が今、身につけたいスキルの1つ。昨年の日本シリーズ第5戦では、甲子園で痛恨の失策もあった。守備職人の教えを胸に、午後5時17分、取材を終えてクラブハウスへと引き揚げた。【中野椋】

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