若きスター候補が覚醒している。DeNA2年目の松尾汐恩捕手(19)が“プロ1号”を豪快に決めた。

6回の守備から途中出場すると、2点を追う7回先頭、日本ハム福田俊の初球142キロ直球を捉え、左翼フェンスを軽々と越える1号ソロ。今季は対外試合6試合で12打数7安打と打ちまくっており、自主トレの師匠・戸柱の助言も力に熾烈(しれつ)な正捕手争いへ意気揚々と挑む。

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自信が確信に変わった。松尾が迷いなく初球から振り抜いた。日本ハム福田俊の初球142キロ直球を捉えた。打った瞬間に柵越えを悟った。昨季、29試合連続無失点のままシーズンを終えた左腕からひと振りで特大アーチ。「初球から甘い球きたらいったろうと思っていた。自信がついた部分は結構ありますし、今までやってきたことを出せてるなと思います」と笑みがこぼれた。

師匠の金言がさっそく生きた。自主トレをともにした戸柱に前日23日のヤクルトとの練習試合前に悩みを相談した。「最近、角度がなかなかつかないんすよね…」。戸柱からは左手の手首を絞ってバットを立てるように助言された。翌日のオープン戦初戦、1スイング目から助言通りに高い放物線を描いてみせた。ベンチに戻ると「あ、俺のアドバイス」と声をかけられた。「打撃練習から感覚がよかった。トバさんのおかげです」と感謝した。

まだ19歳。1試合1試合が自信につながる。対外試合では直近5試合全てで安打を放ち、その間10打数7安打1本塁打と止まらない。ホームランの直前には二盗を刺して守備での成長もアピールした。

ルーキーイヤーの昨季は1軍初昇格するも初出場はかなわなかった。捕手は山本を筆頭に伊藤、戸柱とベテラン組も控えており、出番は熾烈(しれつ)な競争を勝ち抜いた先にしかない。「自分のできる恩返しはトバさんを超えることだと思っている。去年はなかなか1軍に上がれず、先輩たちに追い付くことができなかった。コンディションを整えながら開幕1軍目指して頑張りたい」。目をギラつかせながら食らいついていく。【小早川宗一郎】

▽DeNA三浦監督(松尾の“プロ1号”に)「完璧だったね。日々守りの方も成長してくれてます。いいものを持ってると思います」

◆DeNAの捕手争い 昨季は東と最優秀バッテリー賞を受賞した山本が最多の52試合でスタメンマスクをかぶった。捕手陣最年長の伊藤がバウアーとコンビを組むなど48試合で続き、戸柱が43試合に先発した。1軍捕手の3枠の争いに松尾が4人目として参戦している。起用法について三浦監督は「考え中です。シーズンは全員で戦うわけですから、層を厚くしていかないといけない」と競争を歓迎した。

◆松尾汐恩(まつお・しおん)2004年(平16)7月6日、京都・精華町生まれ。大阪桐蔭では2年春から4季連続で甲子園に出場し、22年センバツV。同年ドラフト1位でDeNA入団。昨季は2軍で104試合、95安打、7本塁打、51打点、6盗塁、打率2割7分7厘。9月6日ヤクルト戦でサイクル安打。今季推定年俸1100万円。178センチ、82キロ。右投げ右打ち。

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