僕にできることは野球を頑張ること-。13度目の「3・11」を前に、ロッテ佐々木朗希投手(22)が今季本拠地初登板し、3回4安打5奪三振で無失点に抑えた。最速は157キロにとどまるも、2四球を与えながら要所を締め、先発予定の31日日本ハム戦(ZOZOマリン)に向けて着実に前進した。自身も被災し、津波で父と祖父母を亡くした東日本大震災から13年。東北の宝が、今年もひたむきに腕を振る。

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13年前、佐々木が住む東北を大地震が襲った。今年1月には石川・能登半島の地震が人々の日常生活を奪った。2月のキャンプ中、募金活動に参加するなどチームとして復興支援にも携わってきた。

今季3度目の実戦登板が「3・11」の前日となる巡り合わせ。3回無失点に抑えた登板後「僕にできることは野球を頑張ることだと思う。一生懸命プレーして、自分の持っているパフォーマンスを発揮することが大事かなと思っています」と口元を引き締めた。

1万3865人の観客が拍手で佐々木を迎えた。0-0で迎えた2回、安打と暴投で1死二、三塁のピンチを背負う。カウント2-2からこの日最速の157キロを外角低めに投げ込み、見逃し三振を奪った。打者のソフトバンク甲斐も思わずのけぞった。中6日での登板に「前よりは全体的にまとまってきたので良かったですし、真っすぐも、特に右打者にいいボールが決まっていた」と言った。

前回3日の登板(西武戦)では初回に制球が乱れ1失点。「前回は真っすぐが抜ける球が多かった。今回は抜ける場面もあったけど、比較的前回より良かったと思う」と修正。「直球が一番大事。球速とかコントロールとか、そこら辺がついてきてほしい」と調整していく。

この日は完全試合の時にも組んだ後輩の松川ではなく、2年目以来となる田村とのバッテリーだった。吉井監督は「いずれそういう可能性があるかもしれない。頑張ってましたね。いけるんじゃないかと思います」と合格点。佐々木は毎回得点圏に走者を背負いながら、要所でフォークを交えるなど無失点にしのいだ。

1年前の3月11日は東京ドームで、WBC日本代表としてチェコ戦のマウンドに上がった。今年は3月10日にZOZOマリンのマウンドへ。本拠地で腕を振るのは148日ぶり。「オープン戦で投げるのはすごく久しぶりだったので新鮮でしたし、また開幕はここでできるので楽しみにしています」と心待ちにした。もっともっと、ファンの声援が佐々木の投球を後押しする。【星夏穂】

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