阪神木浪聖也内野手(29)の「レア弾」が最後の意地につながった。7回。伊勢の甘い直球を力強くたたいてジャストミート。逆転を信じる虎党が待つ右翼席に白球を届けた。

初球の直球を狙い打ちした。「初球しかないと思っていた。しっかり準備して入れました」。開幕から3試合ノーヒット。これが今季10打席目で初安打だった。過去3年はシーズン1本ずつ打っただけ。プロ6年目で11本目だ。手応え十分だったが、試合後は表情を崩さなかった。

押せ押せの9回。1死一、二塁から再び打席が回ってきたが、左飛に倒れ、追い上げムードがしぼんだ。「最後の打席が悔しい。ああいう場面はこれからも来る。もっと精度を上げないといけない」。

ただ、3月31日巨人戦で森下が放った決勝3ランのように、やはり本塁打には特別な効果がある。京セラドーム大阪の虎党は沸き、雰囲気もがらりと変わった。終盤の追い上げは次につながる。「何とか1本打つことができてよかった。どういう形であれ、ヒットが出た。これからは本塁打は(頭から)消していきたい。ホームランバッターではないので」ときっぱり。昨年、恐怖の8番打者としてV打線を支えた男は、地に足をつけて仕事をまっとうする。【柏原誠】

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