超速70号で連勝ダーン! 阪神佐藤輝明内野手(25)が、ド派手なアーチで連日のヒーローになった。2-2の7回、ヤクルト先発吉村から決勝2号2ラン。シーズン1、2号の2試合連続本塁打は自身初で、プロ4年目の通算70号到達は田淵幸一、岡田彰布と並ぶ球団最速だ。今季初の2連勝&カード勝ち越しを呼び込み、勝率は初の5割に。球団史上初のセ・リーグ連覇へ、量産態勢に入った大砲が虎に勢いを与える。

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まるで前夜のリプレー映像を見ているようだった。佐藤輝が打球を右中間席へ突き刺した。その弾道も、神宮の歓声も、19時間前のナイターで放った1号決勝アーチにそっくりだった。「もうちょっと飛ぶかなと思ったんですけど、ギリギリでした」。最前列へ飛び込んだ一撃にホッとした。

2-2の7回無死一塁で先発吉村の初球、内角直球をしばいた。決勝2号2ラン。シーズン1、2号の2戦連発はプロ4年目で初めて。いずれも「(自身のものと)長さも一緒。ちょっと違うだけ」という大山のバットを借りて決めた。ベンチでは先輩と握手し「大山さんのバットで打てました」と感謝、感謝だ。4年目の通算70号到達は田淵幸一、岡田彰布に続き球団3人目で最速タイ。レジェンドが通った道を、令和の長距離砲もたどっている。

阪神のドラフト1位って大変だよね-。入団後、そう聞かれたことは1度や2度ではない。関西の人気球団。打てば称賛、打てなければたたかれる。先人たちも味わってきた世界だ。それでも「僕はあんまりそう思わない」と首を横に振ったことがある。

「チームメートにボロカス言われるなら、めちゃくちゃキツいですけどね。別にそうじゃない。ちょっと悪口言われたからって気にしていたら、メンタルもたないでしょ。周りに何を言われても、しっかりと応援してもらえる声は僕に届いているので」

本拠地甲子園の地元、西宮市で生まれ育った男は、阪神ファンの思いが肌感覚で分かるのだろう。記録も、そしてメンタルも並ではない。「大きい声で応援してくださって、ありがたい限りです」と、試合後も感謝は尽きない。

打率はまだ1割台で3試合連続6番に下がっているが、4試合連続安打の上昇モードで、量産態勢に入った。チームも8戦9本塁打は12球団トップ。今季初の連勝&カード勝ち越しを決め、勝率も初の5割に上げた。球団史上初のリーグ連覇へチームも佐藤輝もリスタート。「最高です! 明日も勝ちます!」。ヒーローインタビューでホームさながらの大歓声の中、叫んだ。佐藤輝明が最高だ。【中野椋】

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