阪神大竹耕太郎投手(28)が今季初勝利を挙げた。ヤクルト相手に6回5安打2失点の粘投。1月に左肩のガングリオン(良性のしこり)の除去手術を受けて出遅れたが、今季2度目の先発でしっかり勝ち切った。

0-0の3回、1死から四球と連打で満塁のピンチを招くと、5番サンタナの左前適時打、6番長岡の右犠飛で2点を先制された。それでも4回以降は立て直し、3イニングで1安打。持ち味の制球力が光った。

「崩れなかったことが大きいと思う。諦めずに投げることでチームは勝つし、自分も勝てる。1人1人勝負していく大切さをいま1度感じました」

タテジマ2年目の今季は試練のスタートだった。昨季現役ドラフトでソフトバンクから移籍し、勝ち頭の12勝で38年ぶりの日本一に貢献。だが、オフの検査でガングリオンが見つかった。神経を圧迫し、筋肉が働きにくくなる場合もある厄介な症状だ。1月に除去手術を受けると、約2センチほどの脂の塊のようなものが出てきた。その影響で今春の沖縄・宜野座キャンプは調整が遅れた。2月10日にブルペンで初の本格投球を行うと「改めて普通に野球できるっていうのが、ありがたいことだなという、感覚はありました」と明かした。

思うように投げられないもどかしい期間。向き合ったのは自分自身だった。自宅で瞑想(めいそう)の時間をつくって心身を整えてきた。「今季は楽しく投げることを大切にしたい」。イメージするのはマウンドで楽しさをかみしめながら投球する姿だ。

ひと安心の1勝をつかんだが、まだ始まったばかりだ。「昨年は(相手も)僕のことよく分かってない状態で1年間投げられたけど、今年は分かられた状態での勝負。去年と同じようにやってもダメな部分もある。探り合いというか、それはずっと1年通して、やっていかないと」。ノーモア“2年目のジンクス”へ気合十分。心身ともにたくましくなり、今季も白星を量産する。【村松万里子】

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