日本ハム福島蓮投手(20)が堂々と1軍デビュー果たした。プロ初登板初先発のソフトバンク戦で5回4安打2失点、5奪三振と快投。プロ初勝利はお預けとなったが、力のある直球を軸に試合をつくった。育成3年目の春に支配下選手契約を勝ち取った超有望株がポテンシャルの高さを示し、今後への期待を大きく膨らませた。

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試合直前の福島は地に足がついていなかった。右翼付近での遠投中に違和感を感じた。「ちょっと足がフラフラしていた。これは『いつもより緊張しているかな』と思いました」。そんな細身の長身右腕は立ち上がりに2失点。ただ、しっかりと立ち直れたところが、有望株たるゆえんだ。

福島 初回、点を取られたので開き直って(伏見)寅威さんを信じて、です。

最速151キロの直球を軸に、伏見の熟練のリードに身を委ねながら快投した。「中学校、高校でずっとテレビで見ていた選手たち。楽しんで投げるしかない」。スターぞろいのソフトバンク打線を相手に2回以降は1安打しか許さず。70球前後と制限されていた節目の舞台は「5回いけるかな…」と心配だったが、きっちり5回を72球で終えた。

確かな成長を実感できるデビュー戦となった。2回以降に多投したスライダーが効果的だった。「もともと苦手意識が強かった」という球種だが、転機は昨秋キャンプ。就任したばかりの金子2軍投手コーチらからアドバイスを受けた。「ちょっとずつ良くなってきているかなって感じ」と握りなども変え、1軍で通用する武器に進化。先発として飛躍するための力が備わっていることを証明した。

勝ち星は付かなかったが、今回の快投デビューを受けて再び1軍で先発する機会もすぐに設けられる見通し。「通過点だと思うので、これからもっともっと成長していけたら」。育成契約からのサクセスストーリーは始まったばかりだ。【木下大輔】

 

日本ハム新庄監督(5回2失点の福島に)「たいしたもんですよ。育成からはい上がってきて、このホークス打線を。なんとか勝ちを付けさせたかったですけどね。期待がもてる投球をしてくれたので、次も(1軍で)いってもらいます」

 

■福島蓮(ふくしま・れん)

◆生まれ 2003年(平15)4月25日生まれ、青森・八戸市出身

◆球歴 青潮ファイターズ(小4から)-湊中(軟式野球部)-八戸西

◆高校時代 高校入学時は身長186センチ、体重59キロ。1年春からベンチ入り。3年春のセンバツは21世紀枠で出場。「21世紀枠初出場対決」となった1回戦の具志川商(沖縄)との試合に先発して5回5失点。チームは初戦敗退となった。高校時代の最速は144キロ。日本ハムから育成ドラフト1位で指名された21年10月時点では身長190センチ、体重70キロ

◆家族 両親と姉

◆尊敬している人物 大谷翔平

◆勝負メシ 白米

◆ヘアスタイル 昨夏に人生初パーマ。もともと髪質が天然パーマで「厄介で思い切ってかけちゃえ」。2カ月に1度くらいのペースでパーマをかけ直す

◆サイズ 身長は高校時代と変わらず190センチ、体重は6キロ増えて76キロ

◆投打 右投げ右打ち