<パCSファイナルステージ:日本ハム3-0ソフトバンク>◇第2戦◇18日◇札幌ドーム

 日本ハムがソフトバンクに連勝し、日本シリーズ進出に王手をかけた。第1戦で同点2ランを放った糸井嘉男外野手(31)が前日と同じ7回、この日は1-0から貴重な追加点となる2ランを放った。投手陣は先発武田勝投手(34)が6回3安打無失点、7回から石井、増井、武田久と盤石リレーで締めた。リーグ優勝によるアドバンテージの1勝を合わせ、これで3勝。栗山英樹監督(51)就任1年目での日本シリーズ進出へ、さあ、あと1勝だ。

 2戦連続で7回に飛び出した1発。お立ち台で「ラッキーセブンですか?」と問いかけられた糸井は、3秒考え「…まさにラッキーセブンだと思います」。そのまま繰り返しただけで、スタンドは大爆笑。「規則正しい生活」ネタを封印しても、ファンは大歓声でヒーローをたたえた。

 前日の同点弾に続き、この日も勝敗を左右する貴重な1発だった。リードはわずか1点。2死二塁で、マウンド上にはソフトバンク森福がいた。今季の対戦成績は6打数無安打に終わっていた。「全然打ってない。打てる球はどんどんいこうと。受け身にならず、攻めていこうと思った」。初球の122キロスライダー。乾いた衝撃音を残し、大きな放物線が右翼席中段に架かった。

 昨オフも新たな“伝説”をつくった。肉体のメンテナンスとともに実行に移したのが、視力矯正のレーシック手術。病院では、視力測定の際に担当医を驚かせた。視力が、なんと1・5もあったからだ。「それで手術を受ける人はほとんどいない。本当に受けるんですか!?」。だが、糸井は本気だった。手術後、「2・0になりました」と満面の笑みを浮かべた。

 そんな破天荒な糸井も、8月末に左脇腹を痛めて出場選手登録を抹消された際には、チームへの熱い思いを隠さなかった。その4日後には田中が左腕を骨折して離脱。糸井は栗山監督に「自分は骨が折れているわけじゃないので、大丈夫です。使ってください」と直訴した。登録抹消されているので、実際にはすぐに出られないのだが、同監督はその気持ちがうれしかったという。

 アドバンテージの1勝を含め、日本シリーズ進出まであっさりと王手をかけた。だが栗山監督は、手綱を締めた。「そういうこと(王手)が邪魔になる。今日がすべてだと思ってやるしかない」。糸井も「1つの負けで流れが変わるから」と、“リーチ1発”を誓った。【本間翼】