WBC世界バンタム級王者山中慎介(32=帝拳)の「神の左」は最強挑戦者に当たるのか? 22日の“バンタム級頂上決戦”を屈指のテクニシャン、元世界王者の川島郭志氏が占った。19日、タイトルマッチの予備検診が都内で行われ、9度目の防衛を狙う山中と前WBA同級スーパー王者の挑戦者アンセルモ・モレノ(30=パナマ)はともに異常なしと診断された。
「ここ数戦と比べるとワンランク上の相手ですね」。モレノの映像を見終えた川島氏は警戒するように言った。挑戦者は左構え、防御を主体とした戦い方と自らの現役時代と似たタイプ。山中の長所を消そうとするだろうと予想した。
川島氏 モレノは強いというより、とにかくやりにくい。足ではなく上半身を柔らかく使い、頭の位置を変えながらパンチをかわしてくる。相手に力を出させないことで調子に乗ってくるタイプですね。防御型の選手は試合が始まると、まずジャブの差し合いで有利に立てるかを判断し、次は相手のパンチをかわせるかを確認します。安全なポイントを見分けてから攻撃にシフトしていく。防御からペースを握られ、楽に戦われると危険な相手ですね。
世界王座を12度防衛した挑戦者の「勝ちきる力」にも警戒が必要だという。
川島氏 攻撃面もパワーこそありませんが、のらりくらり、小さなパンチを当てるのがうまい。山中選手のような強打者が相手なら、なおさら「よけて打つ」を繰り返してポイントを取りにくるでしょう。経験も豊富ですし、ジャッジへの見せ方もうまいですね。
難敵を攻略するにはどうしたらいいのか?
川島氏 モレノは山中選手の空振りを誘って(山中の)手数を減らすような戦い方をしてくると思います。それに乗らず「いつかは当たる」ぐらいの気持ちでいることが重要です。技術的にはとにかくパンチを体に当て、肉体的にも、精神的にも少しずつ削って(弱らせて)いくことですね。
「神の左」は当たるのか?
川島氏 映像を見る限り、モレノは相手が右構えの方が得意な印象を受けました。山中選手と同じ左と対戦した時はパンチをよける頭の位置が左後方へのワンパターン。最後は、よけようとした右肩越しに、山中選手が得意の左ストレートを当ててくれると思います。【取材・構成=奥山将志】
◆川島郭志(かわしま・ひろし)1970年(昭45)3月27日、徳島県海部郡海陽町生まれ。88年にヨネクラジムからデビュー。94年にWBC世界スーパーフライ級王座を獲得し、6度防衛。「アンタッチャブル(触らせない)」の異名を持つ屈指のテクニシャン。00年に川島ジムを開設。
▼WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志コメント モレノはうまいが、パンチ力という意味での怖さはない。山中は熱くならず、12回あると考えることが重要。ジャブもうまいし、あのパンチ力ならモレノも下がるしかない。そうなれば踏み込んで打てるし、最後は得意の左が当たると思う。
▼WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥コメント 顔を狙って当たらないと本能的に焦ってしまうので自分だったら徹底的にボディー狙いでいきます。ただ、山中さんの左はこれまでどれだけ研究されても当ててきていますし、今回も最後は左という展開になるのではないかと思います。


