日本相撲協会は30日、東京・両国国技館で理事会を開き、横綱白鵬(36=宮城野)の現役引退と年寄「間垣」襲名を承認した。今後は、宮城野部屋の部屋付き親方として後進の指導に当たる。白鵬は26日に幕を閉じた秋場所後に、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)を通じて協会に引退を申し出ていた。

協会発表によると、白鵬は異例の「誓約」付きとなった。白鵬の申し出を受けて、八角理事長(元横綱北勝海)は年寄資格審査委員会を招集。29日に年寄資格審査委員会を開催し、全委員の意見を聞いたところ、5月の間垣名跡継承の際、白鵬に対して委員会が忠告した事項が、その後に守られなかったことから、間垣名跡を襲名することに反対意見はなかったものの「襲名を認めるとしても、条件をつけるべき」、「10年間は部屋付きの親方として、親方業を習熟すべき」といった、厳しい意見が続出したという。委員会では裁決せず、全委員の考えを理事会に報告した上で、この日の理事会で決定することとなった。

理事会では、年寄資格審査委員会の今井環委員長から、委員会で出された意見の報告があり、そのうえで審議に入った。理事会でもさまざまな意見が交わされ、結論として白鵬には「新人の親方として、理事長をはじめ先輩親方の指揮命令・指導をよく聞き、本場所など与えられた業務を誠実に行うこと」、「大相撲の伝統文化や相撲道の精神、協会の規則、ルール、マナー、相撲界のならわし、しきたりを守り、そこから逸脱した言動を行わないこと」といった、年寄として当然に守るべき事項を誓約することを条件に、間垣名跡襲名を認めることとなったという。

白鵬は最近の休場の多さを理由に、昨年11月場所後に横綱審議委員会(横審)から引退勧告に次ぐ重さの「注意」の決議を受けた。新型コロナウイルス感染や3月の右膝手術をへて、7月の名古屋場所に出場。45度目の優勝を果たした。秋場所は部屋の力士の新型コロナウイルス感染の影響で全休の措置が取られ、11月の九州場所出場を目指したが心身共に限界を迎えていた。