SKE48大矢真那(27)が29日、名古屋・栄のSKE48劇場で卒業公演に出演した。今月いっぱいでの卒業を発表しており、この日が最後のステージとなった。08年7月のお披露目から9年間、3410日間を過ごしたアイドル生活に別れを告げた。

 開演前のアナウンスでは、「私はこの公演に育てられたので、それを見せられる公演にしたい」と決意を語った。日替わりセンターのオープニング曲「GONNA JUMP!」ではセンターで登場し、大歓声を受けた。ファンが「これからも共に歩み続けます」と書かれたうちわを掲げると、「私はこれからも頑張りますので、皆さんも応援、頑張って下さいね」と、独特の言い回しで呼びかけた。

 総勢43人が出演し、通常の倍近い3時間半にわたって行われる、史上まれにみるボリューム満点の公演だった。ダブルアンコールは純白のドレス姿で、12月に卒業公演を控える後藤理沙子(20)木本花音(20)とともに卒業ソング「それを青春と呼ぶ日」を歌った。結成からSKE48のすべての歴史を見てきた大矢らしく、「歌おうよ、僕たちの校歌」「コスモスの記憶」など、知る人ぞ知るカップリングの名曲もチョイス。「1つだけ心残りだった」という、ミュージカル「AKB49」の寸劇で、お気に入りのキャラクター岡部愛の演技も披露し、「これだけはやり残してたと思ってたの。ここでできて何もやり残したことがない!」と言い切った。

 松井珠理奈とは、運命の出会いを感謝する楽曲「Nice to meet you!」を歌い、笑顔で抱き合った。松井は大矢への感謝の手紙を書くはずが、「(手紙を)書いたら終わっちゃうのかなと思ったら、最後まで書けなかった」と明かした。「真那のいない人生がこれから始まると思ったら、それは想像の付かないことだから、強くなくちゃいけないって思う。最後に1つだけ、わがままを聞いて下さい。抱きしめさせて」と固く抱き合った。

 大矢は毒舌と天然発言、ユーモアのセンスに満ちた言葉を織り交ぜる天才的なバランス感覚で、グループには欠かせない存在だった。この日も口を開けばファンやメンバーの爆笑を誘うコメントを連発。加入3年目の高塚夏生には、「話したのはここ数カ月だよね。いろいろいじってごめんね。これからもプロレスラーを目指して頑張ってね」となぞのエールを送り、劇場を笑いに包んでいた。

 卒業後は布施博、矢部みほらがいるサン・オフィスに所属し、芸能活動を続ける。12月から愛知・CBCラジオで冠番組がスタート。写真集の発売、ファンクラブの結成も決まっており、幅広く活動していく。既にラジオの第1回収録を行ったが、「周りにメンバーがいなくて、寂しかったです。それだけメンバーの存在って大きかったんだなって思いました。めっちゃうれしいはずなのに、今までどれだけ助けられたかを知った大矢真那でした」と、あらためてメンバーの存在のありがたさを実感していた。

 アイドルにあこがれ、アイドルとして過ごした9年間に、悔いはない。「幸せだって言って卒業できることが幸せです。いろんな気持ちでやめていく人がいる中、幸せにあふれた気持ちで卒業できます。ありがとうございます」と、涙でステージを下りた。