ハリウッド直送便

米国で評価が高まる日本映画と伝統文化

6日からロサンゼルスで開催されていた第5回アジア・ワールド・フィルム・フェスティバルが14日に最終日を迎え、来年開催される第92回アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)部門の日本代表に選ばれた新海誠監督の新作アニメ「天気の子」がトリのクロージング作品として上映されました。気候変動が大きなテーマの一つとなっている「天気の子」にちなんで上映に先立ち、宮崎県高千穂町にある高千穂神社から後藤俊彦宮司と巫女の安西菜央さんが招かれ、ロサンゼルスで先月から発生している大規模な山火事の沈静化や日本で相次ぐ水害が治まるよう、神事と舞が奉納されました。会場外に設置された祭壇の前には多くの人が集まり、相次ぐ天災と世界平和への祈りを捧げる日本の伝統の儀式を静かに見守りました。

祈りを捧げる後藤宮司
祈りを捧げる後藤宮司

アジア圏50か国のフィルムメーカーたちが集まって開催されるアジアン・ワールド・フィルム・フェスティバルは、ハリウッドにおけるアジア映画への関心を高める目的で始まった、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の公式映画祭として知られています。期間中、「天気の子」を含めアカデミー賞国際長編映画賞に出品されている25作品がお披露目され、ハリウッドでは12月から本格化する賞レースシーズンの到来を前に「天気の子」もその存在を内外にアピールする絶好の機会となりました。「天気の子」はアカデミー賞長編アニメーション部門にも出品されており、来年1月13日に各部門のノミネート作5作品が発表されます。一方の外国人記者クラブが主催するゴールデン・グローブ賞は一足早い来月9日にノミネートの発表を控えており、アニメ映画賞へのノミネートが期待されています。最終日に行われた授賞式では、サハ共和国の「The Sun Above Me Never Sets」が最優秀作品賞を受賞しました。

同映画祭では今年から日本映画を紹介する「ジャパンデー・フィルム」が新たに設けられ、着物など日本の伝統文化や風習、環境をテーマにした3作品が上映されました。「ジャパン・フィルム」としてセレクト上映されたのは、川端康成の同名小説を実写化した「古都」(16年)、ロサンゼルス在住の映画監督曽原三友紀さんがメガホンを取った京都の花街をテーマにした「はんなり」(07年)、そして岡山を舞台にマスカット・オブ・アレキサンドリアの和菓子に魅せられた女性の奮闘を描く「しあわせのマスカット」(来年公開)の3作品で、どの上映会も会場は多くの観客で賑わい、日本映画や伝統文化への注目の高さがうかがえました。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

舞を披露した巫女の安西さん
舞を披露した巫女の安西さん

◆千歳香奈子(ちとせ・かなこ) 1972年札幌生まれ。92年に渡米。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月からロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。

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