映画この一本

楽しい「!」いっぱいの物語/カツベン!(日)

周防正行監督が、無声映画に説明やせりふを付ける活動弁士たちの物語を作り上げた。若き活動弁士に成田凌、女優を志す幼なじみに黒島結菜。

タイトルの「!」がきいていて、「!」に彩られた物語だ。登場人物たちの活気と躍動感、ドタバタ感がよく出ていた。いろんな要素が詰まってもいる。活動弁士の成長物語で、若い2人の切ない恋物語でもあり、追いつ追われつの騒動物語でもある。

にぎやかな話をきゅっと締めるのが、7カ月にわたって特訓したという成田の活動弁士ぶりだ。幼いころから活動弁士にあこがれ続けてきた青年の設定に大いに説得力を持たせた。

もう1つの注目が、大金の入ったトランク。どこに行くか分からないトランクが、いろんな人を道連れに、物語も転がしていく。

軽妙だが心底明るい物語ではない。その後のトーキー映画の出現を考えてしまうからだろうか。ただこんなに楽しい「!」いっぱいの物語を見ると、しぶとく生きていくに違いないと、ほんのり明るい気持ちにもなる。

映画の楽しみ方は自由でいい、と感じた作品でもあった。

【小林千穂】(このコラムの更新は毎週日曜日です)

洋邦問わず、日刊スポーツの映画担当記者がオススメ映画を紹介します。

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