宝塚 ~ 朗らかに

しなやかにのびのびと男もスタイルも磨く/彩風咲奈

雪組スター彩風咲奈(あやかぜ・さきな)が、ミュージカル「ハリウッド・ゴシップ」で、野望を胸にのし上がる映画スターを熱演している。すでに神奈川公演を終えた東上主演作は、シアター・ドラマシティ(大阪市)で上演中。私生活ではペットを飼い、仕事とオフの切り替えも習得した。トップ望海風斗(のぞみ・ふうと)を支えるスターは、公私ともに充実させてセンターに立つ。ドラマシティ公演は31日まで。

小顔の8頭身スタイルも、さらにスタイリッシュに磨きがかかった(撮影・奥田泰也)
小顔の8頭身スタイルも、さらにスタイリッシュに磨きがかかった(撮影・奥田泰也)

  ◇   ◇   ◇

色紙に「のびのびと…」と書き込んだ。「伸び伸びさせていただいているというか。望海さんと真彩、おふたりのクオリティーについていこうとして、気持ちが変わりました」と笑う。

雪組はトップ望海風斗、相手娘役の真彩希帆ともに抜群の歌唱力、技術を誇る当代随一の実力派コンビ。昨年の「ファントム」は圧巻だった。2番手の彩風も技量を磨き、8頭身スタイルに華やかさが増した。

「お客様の期待値の高さを感じ、歌に関しては『ファントム』(出演経験)が大きくて。お芝居でも、望海さんの集中力、パワーがすごくて。私は、もっと大きなパワーで向かっていかないと-と、考えました」

ファントムでは、望海の父親役を演じた。役の幅が広がった近年。苦しんだ先にたどり着いたキーワードが「のびのび」だった。

「以前はお稽古中に『これ言っていいかな』ということが、多かったんですけども…」と照れる。言葉と、取り組みを通して伝える望海の姿勢からリーダーシップも学ぶ。望海が組子に伝えきれなかった言葉を託されることも。「そう、おっしゃってくださることがうれしい」。彩風自身の自覚、覚悟も増す日々だ。

今作は、ハリウッドでの成功を夢見る青年役。オーディションでサクセスを夢見たが、その裏があることを知り、野望を抱く。

「演出の先生から『男の弱さ』も見せてほしいと。夢を追い、大きいことを言っても、チャンスがないと人のせいにしていた彼が、ハリウッドの闇に気づいて変わっていく。最初は『へたれ』。女性の方が我慢強いのか、この『へたれ』が理解しづらかった」

弱みを隠して格好をつける。役の心情に悩んだ。苦しみ、つかんだ役柄は、この2年、望海のもとで学んだ彩風自身にも通じる。東上は2年ぶり2回目。

「前回は新生雪組が誕生するとき。(月組から異動の)朝美(絢)も加わって新しい空気感に包まれ、すごく意気込んでいました」

今は「楽しんで」舞台に立っていられるという。

「ショーだと、自分からどうだ! と見せるより、(演出家から)『もうちょっと脱力した感じで』と言われることが増えた。自分にこんな引き出しも? と、新たな学びもありました」

好循環。雪組一筋で「自分を素直に表現できるメンバー」に囲まれ幸せを感じる。私生活では、前作公演中にフェレット(イタチ科)を飼い始めた。オスで「ジェラルド」と命名した。

「留守中はケージに入れていて、帰ったら出します。いい息抜き。次の日にリフレッシュできる。朝も1時間早く起きたら、いろんなことができる。お稽古も(退出)時間を決め、次の日に早起きして劇団へ。ペット効果ですね。自分自身に戻る時間ができた」

張り詰めた糸のようだった心に“あそび”ができた。心身ともにしなやかに、男役道もより一層、磨きがかかる。【村上久美子】

◆ミュージカル・スクリーン「ハリウッド・ゴシップ」(作・演出=田渕大輔) 1920年代のハリウッドが舞台。映画スターを志すコンラッド(彩風咲奈)は、新人発掘をうたう大作映画のスクリーンテストに臨む。だが、若手スターのジェリー・クロフォード(彩凪翔)が主演に選ばれ、裏を知る。怒ったコンラッドはスタジオへ乗り込み、往年の大女優アマンダ(梨花ますみ)に見いだされる。アマンダは、自らを踏み台にして出世したかつての恋人ジェリーへの報復を考えていた。コンラッドはその最中、ジェリーの新たな相手とうわさされるエステラ(潤花)に出会う。

☆彩風咲奈(あやかぜ・さきな)2月13日、愛媛県大洲市生まれ。07年に首席入団。雪組配属。新人主演は5回。長身で脚長、小顔と抜群のスタイルも注目。11年、宝塚バウホール「灼熱の彼方」で彩凪翔とダブル主演。14年「パルムの僧院」でバウ単独初主演。17年「CAPTAIN NEMO」で東上初主演。身長173センチ。愛称「さき」。

夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

おすすめ情報PR

芸能ニュースランキング