ヤンキー、日本独自の文化である。任侠(にんきょう)ものと同じく男っぷりを前面に出したその世界感は、映画やドラマで人気のジャンルでもある。また若手俳優の登竜門でもあり、ドラマ「ごくせん」に「ROOKIES」、映画「クローズZERO」など、今を時めくスターたちを多数輩出している。
演出目線では喜怒哀楽の表現のうち「怒り」の芝居が実はもっともやりやすい。ある程度勢いに任せられ、素の部分というか、自分を解放させられればうまくいく。逆に普通の演技の方が難しい。全力で走るのは簡単だが、ゆっくり歩いて、と指示を出すといつもどうだっけ? となる感じである。そういった意味でも若手俳優と相性がよく、出世作になる可能性を常に秘めているのではないかと思う。
そこでまず紹介したいのは現在放映中のテレビ朝日系ドラマ「伝説の頭 翔」。ヤンキー漫画が原作で、高橋文哉が一人二役、いじめられっ子とカリスマヤンキーを演じる。深夜帯ながら1時間ドラマで、共演者もライダーや戦隊出身の若手俳優がそろい、局内で力が入っていることがわかる。
内容自体も主人公の葛藤とともに、仲間との友情、ライバルチームとの抗争、そしてご当地アイドルも出てくるなど盛りだくさんで飽きさせない作りになっている。うん、普通に面白い。
そして今回取り上げたいのは出演しているカルマ。ライバルチームのボス・東城を演じる。今のところ、敵とも味方ともいいがたく、ヤンキーというよりチーマー風な風貌でタイングよく主人公たちの前にいつも現れる。ほとんどの出演者を知っていたが初見の俳優さんで、いろいろと調べてみると、俳優では芽が出ず、YouTubeで成功し再び俳優の道へ戻ってきたようだ。
現在28歳。若手俳優たちに溶けこみ、ケンカなどの熱いシーンが続く中、どこか箸休めのようにひょうひょうとした演技を続ける。先ほどの例えだと、歩きも走りもせず、常にスキップをしているかんじだろうか。なかなか出せる雰囲気ではなく、べースとなる演技力に加え、これまでのさまざまな経験が生かされているのであろう。思わずいい俳優を見つけて、にんまりしてしまった。
インフルエンサー自体、芸能界ではなかなか苦戦している印象だが、今回の作品をみる限り、今後大いに活躍が期待できるのではないかと思う。カルマ、この名前をぜひ覚えておいて欲しい。
◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。最近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」、10月18日には映画「追想ジャーニー リエナクト」が公開予定。





