陸上選手でタレントの武井壮(43)が13日、著書「勝つ人 13人のアスリートたち」刊行記念トークショーに出席し、8月のリオ五輪に出場する陸上日本代表選手について語った。

 陸上10種競技元日本王者の武井は、同種目代表となった右代啓祐(29=スズミ浜松AC)中村明彦(25=スズキ浜松AC)について「日本からこの種目で2人代表になるのは初なんです。2人とも自分も指導した経験がある選手だし、メダルに手が届くところまできていると思う。自己ベストを出して、胸を張って帰ってきてほしい」とエールを送った。

 日本人初の9秒台が期待される陸上男子100メートル日本代表選手3人については「ケンブリッジ飛鳥は面白いですね。桐生(祥秀)と山県(亮太)も状態が良くて、20年前は日本人には不可能と言われていた9秒台にもうあと数十センチまできている。準決勝あたりで3人そろって出してほしい」と期待した。

 トークショーでは、同書にちなみ、抽選で選ばれた13人のファンからの相談に答えた。かつて陸上の8種競技をやっていたという男性ファンから「自分は全部中途半端なので、武井さんのように、全てトップクラスでできるようになりたい」という相談を受けると、「何でも出来ると思っているかもしれないけど、可能性があるだけで、まだ何もやってないだけだと思う」と率直な意見を述べ、「自分は多分、君が8種競技をやってきた努力の時間の数千倍は時間を使っている」と力説を始めた。

 「自分は小学3年の頃から大学生が体育大で履修できる教科書をほとんど全部読んで、小学6年までに全部読み切って、小学5年から自分のトレーニング理論を書いたノートを60冊以上書いていた」と明かし、「その上で、自分が頭で思ったことを思った通りにできる能力を体系立てて考えて、そのトレーニングを毎日6時間以上やっていたんです」と話すと、男性ファンは思わず「そんなに…」と絶句した。

 さらに武井は「鏡の前で自分の体を思った形にできるまで、何ポーズも形をつくって、どこどこが間接1個分違うとか、そういう違いまで動画や写真を見て比べるということを本当にやってきた。やっぱり時間を使った分しか返ってこないのが人生なので。使ってないのに返ってくるのはたまたまなので、まだ君には時間がいるのだろうなと思います」と自身の経験をもとに熱く返答した。

 最後に「自分も何でもできる武井壮になるまで本当に時間がかかった。ここにいる人に、まだまだだなと思われてるかもしれないけど、あの人は何でもできそうだから何かやらせてみようと思わせるまでのぼってみたら、あの時の俺まだまだだったなって思えると思います」と締めると、会場から拍手が巻き起こった。

 この後も「就職活動に真剣になれない」という学生や、「アライグマに勝つには?」といった質問などひとつひとつに丁寧に答え、ファンとの交流を深めていた。