ゴスペル歌手のTAEKO・GLORYが22日、大阪市北区の日刊スポーツ新聞社を訪れ、5月19日に大阪市北区の中之島会館で開催される「地球は母の祈りで満ちている~TALK&CONCERT」をPRした。

97年の神戸連続児童殺傷事件で娘の彩花さんを失い、一昨年に他界した母・山下京子さんの遺志を受け継いで昨年から始めたイベント。命の尊さや親子の愛情の大切さを伝えるという趣旨で、ともに活動中の息子のRENもバックコーラスとして共演する。

「母たちの愛情をもっと子供たちに伝えたいし、子供にももっと感じてもらえるようにしたい」とTAEKO。イベントは歌のほか、幼少期に虐待を受けながら今は児童虐待防止の活動を行う島田妙子氏の講演や、同じく虐待を受けた過去を持ち京子さんの著書を読んだことを機に絵画の才能を開かせた先崎(まっさき)真奈美氏の作品展示など、母の愛をテーマとしてメッセージ性の強い構成となっている。「最悪の状況にありながら、社会に言葉を発信していく人がいることを知ってもらいたい」。

TAEKOは95年の阪神・淡路大震災を機に、ゴスペル歌手としての活動を始めた。「ゴスペルはどん底から這い上がった黒人たちの歌。私はクリスチャンではないけど、たとえ宗教色がなくても歌で人間の底力を引き出すことはできる」。京子さんとは神戸の事件の数年後に出会い、02年には京子さんの詩をもとにしたCDアルバムを制作するなどともに活動してきた。

07年には米ニューヨークのゴスペルチームに加わるなどアーティストとしての幅を広げ、11年の東日本大震災後は、被災地を何度も訪れ、歌い続けた。「すべて人を励ましたいというところからなんです」。日本を元気に。苦しむ人々に希望を。TAEKOは魂を込めて歌い続ける。